アメリカ・カリフォルニア州最南端のサンディエゴ地区は、レジャーにもビジネスにも人気のエリアです。ビーチ、大型会議場、ゴルフ場、大学・研究所などが有名ですが、内陸へ少し足を伸ばすと、驚くような大自然が広がっていることをご存知でしょうか?
海辺から車で2時間弱のところにあるアンザ・ボレゴ砂漠州立公園も、そうした驚きが楽しめる場所の一つ。都市部とは全く異なる光景を、あなたも味わってみませんか?
アンザ・ボレゴ砂漠州立公園って、どんなところ?
アメリカ西海岸のカリフォルニア州では、海や山など、豊かな自然を楽しめる州立公園が数多く指定されています。
その中でも最大の面積を誇るのが、カリフォルニア州サンディエゴ郡・インペリアル郡・リバーサイド郡にまたがる、アンザ・ボレゴ(Anza-Borrego)州立公園です。
サンディエゴ中心部からの距離は、約88マイル(≒140km)。自家用車でも行くことができ、現地在住の方のレジャーにもおすすめの観光スポットです。
「アンザ・ボレゴ」の地名は、スペイン語に由来するものです。
「Anza」は、18世紀にカリフォルニアを探検したスペイン人、デ・アンサ(de Anza)にちなんでいます。
「Borrego」は、大きな角を持つヒツジ属の動物、「ビッグホーン」のスペイン語名です。ビッグホーンはアンザ・ボレゴ砂漠内に生息しており、運が良ければ、至近距離で群れを見られるそうです。
ハイキングコース内にある説明パネル。「アンザ・ボレゴ」の名前の由来になった、ビッグホーン・シープ(スペイン語名:Borrego)も紹介されています。
砂漠へ向かう準備
さて、車で気軽に行くことができるアンザ・ボレゴ砂漠ですが、訪れる際には、気候を考慮した準備がいくつか必要です。
(とはいっても、どれも難しいことではありませんので、安心して読み進めてください!)
現地へ向かう前にまず注意しておきたいのは、飲み水を確保しておくこと。
サンディエゴよりも内陸にあるアンザ・ボレゴ砂漠は、夏の時期は最高気温が107°F(≒42℃)以上にもなることがあります。
特に活動的なトレッキングをしなくても、自動車の外に出た途端、熱さや乾燥を強く感じる場合がありますので、水分補給の準備は必ずしておきましょう。
トレッキングやキャンプをする場合には、1人につき3リットルの飲み水を用意しておくことをおすすめします。
サンディエゴのスーパーマーケットやドラッグストアでは、約500mlの水のペットボトルを24本入り(=約12リットル分)セットを5ドル前後で購入することができます(2016年現在)。車のトランクに積んでおき、現地に着いたら、1人につき数本ずつ持ち歩くと良いでしょう。
続いて気をつけたいのが、日よけ・防寒対策です。
砂漠地帯には、日よけになるような高木があまり生えていません。天気が良い場合には、強い日差しを目や肌に直接受けることになってしまいますので、帽子、サングラス、長袖の上着を用意しておきましょう。
黒い服は虫が寄ってきたり、熱さが増したりすることがあるので、なるべく明るい色の服を選びましょう。
反対に、秋季や天候のすぐれない時期に訪れる場合には、寒さに注意する必要があります。
たとえば、10月の平均最高気温は89°F(≒32℃)ですが、平均最低気温は66°F(≒16℃)。時間帯や天候によって、寒暖の差がぐっと大きくなりますので、折りたたみ式のダウンジャケットなどの持参をおすすめします。
なお、12月になれば、アンザ・ボレゴ砂漠の平均最低気温は43°F(≒6℃)にまで下がります。気軽に行くのであれば、春から秋にかけての時期をおすすめします。
また、ハイキングやトレッキングをする場合には、しっかりした靴を履いていきましょう。
初心者向けのコースの場合、本格的な登山靴を選ぶ必要はありませんが、それでも、キャンバス地のデッキシューズなどは、歩くのには十分でないかもしれません。
まれに、小型のサボテンのトゲが靴に刺さることもありますので、丈夫な素材のスニーカーを履いていくと良いでしょう。
砂漠の景色
準備ができたら、いよいよアンザ・ボレゴ砂漠に向けて出発です。
アンザ・ボレゴ砂漠までは、サンディエゴの中心部から、自動車で2時間ほど。
最初の1時間半ほどは、市街地から農村地帯へと向かう、比較的まっすぐで平坦な道のりです。
サンディエゴからアンザ・ボレゴまでの道は、都市部、農村地帯、山間部を順に通り抜けていくコースです。途中で、牛や馬、ワイナリーに並ぶブドウの若木などを見ることができます。
その後、山間の道を20〜30分ほど走ると、農場や木の数が突然少なくなり、辺りの景色が一変する場所があります。ここまで来れば、目的地はもうすぐ。
山間部を抜けると、途端に農地や木々の姿が見えなくなります。この開けた景色が見えたら、砂漠はもうすぐ!
しばらく走るうちに、窓の外は岩だらけになり、目につく植物はわずかなサボテンと低木だけに…。そう、そこはもう、アンザ・ボレゴ砂漠州立公園の中なのです。目の前に広がる景色は、つい2時間前に見ていた海辺とは、まったくの別物です。
いよいよ、砂漠の中へ。岩だらけのごつごつとした景色は、これまでと違った別世界です。舗装道路はこの先も続きますので、安心してくださいね。
いよいよ、砂漠の中へ。岩だらけのごつごつとした景色は、これまでと違った別世界です。舗装道路はこの先も続きますので、安心してくださいね。
「砂漠」という日本語からは、砂だらけの景色をイメージしがちですが、アンザ・ボレゴで目にとまるのは、ごつごつとした岩と、まばらに生える、個性豊かな植物たち。
サボテンなどの植物は、雨水が流れる自然の溝に沿って生えていることも多く、少し高いところから見下ろすと、乾いた地面に、緑の筋がいくつも並んでいるように見えます。
平地を眺めていると、植物たちが、岩の合間に列を作って生えていることに気づきます。
州立公園の中には、車で移動できる舗装道路が整備されています。
そのため、体力にあまり自信がない場合でも、ドライブしながら、砂漠の景色を間近に楽しむことができます。
砂漠の中を車で移動することができます。小さく見える道路標識は、「馬に乗った人の横断に注意」の意味です。
快適な車内から雄大な自然を眺めるもよし、車を降りて、個性豊かなハイキングコースを歩くもよし。
その日の体調や天候に合わせて、砂漠での時間を自由に楽しみましょう。
ハイキングを楽しむ
アンザ・ボレゴ砂漠州立公園には、初心者向けから上級者向けまで、さまざまなハイキングコースが用意されています。
コースは、入り口付近に駐車場を設けてあるものが多く、州立公園の保全職員(レンジャー)たちにより、整備も行き届いています。
ハイキング愛好家向けのサイト「hikespeak」では、レベル別のハイキングコースを、写真付きで探すことができます。
(http://www.hikespeak.com/ca-desert/anza-borrego-desert-state-park/)
中には、砂漠のオアシスを眺めたり、古代遺跡の壁画を見たりできるコースも。
砂・岩・灌木の中を歩くハイキングは、日本で歩くのと比べて、ひと味もふた味も違う雰囲気を楽しめます。
体力に自信のある方は、ぜひ、無理のない範囲で挑戦してみてください。
アクセスとお役立ち情報
サンディエゴ市内からはアンザ・ボレゴ砂漠までは、北東方面に車で2時間ほど。
途中、30 分ほど山道を走るところがありますので、慣れない方は移動時間を長めに見積もっておくと良いでしょう。
公式サイトで入手できる地図に加え、GPS機能付きのカーナビや携帯電話を用意しておくと安心です。
出発前には、車のガソリンをしっかり補給しておきましょう。
山道で車に酔いやすい方は、酔い止めも飲んでおくと安心です。
砂漠まで残り30分ほどとなる通過地点には、リンゴが名産の山間の町、Julian(ジュリアン)があります。
小さな町ですが、旅の中継地点として立ち寄ると楽しいかもしれません。
リンゴの生ジュース(apple cider)、アップルパイ、リンゴの発泡酒(hard cider)、ジャムなどがおすすめです。
アンザ・ボレゴ砂漠州立公園の公式ウェブサイトはこちら
(http://www.parks.ca.gov/?page_id=638)
「Getting Here」というボタンをクリックすると、Googleマップのページにジャンプし、現地までの移動ルートを検索することができます。
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