谷町四丁目から北西に数ブロック。中大江公園の向いにある「にしはら」にて、美味しいうな丼をいただいてきました。
2014年のオープンからはや3年。クオリティの高い鰻料理を提供されるお店として、その名も定着してきました。ここ最近では某グルメサイトでも大阪のうなぎ部門で、堂々の一位を獲得。
注文を受けてから捌くこだわりの調理法
店頭には断り書きがあります。「ご注文いただいてから30分以上お待たせいただくことをご了承ください。」とのこと。注文してから鰻を捌き、調理するのでしょう。
予約をしてありましたので、30分待つ必要はなさそうです。開店時間ちょうど11:30の予約でしたが、すでに1組の先客あり。そしてオープンとほぼ同時に満席となりました。店内は小さく、カウンター5席と4名がけのテーブル1卓のみですので、そもそも予約なしの入店は難しそうな印象。
比較的新しいお店で、小さいながらも清潔で和の落ち着いた雰囲気があります。
店主のご趣味でしょうか。愛嬌たっぷりのカエルのオブジェや額が飾ってあります。
さて、うなぎの調理法は関東と関西では違います。関東では、まず背開きに捌かれます。これは、切腹を連想させる「腹開き」を不吉とする武士文化からといわれています。その後、竹串に刺して焼いてから蒸します。
一方、関西の捌き方は腹開き。「腹を割って話そうじゃないか」という商人文化の関西ならではの思想ですね。その後、金串に刺されて焼かれます。焼くだけで仕上げるため、ひっくり返す回数が多いのですね。そのため竹串よりも頑丈な金串が使われているのだとか。
こちらのお店では、関東風に蒸し上げておられるようです。
うな丼 中(一匹・3600円)を予約しておきました。
席に着くと間もなく骨せんべいが出てきました。冷えたビールと一緒にいただきます。
かなりの歯ごたえで、ポリポリとよい音がします。ピリッとした塩気があり、ビールのおつまみにぴったり。
ふわふわっとした絶品の鰻丼で心もとろける
ふわあっと香ばしい香りとともに、うな丼がやって来ました。丼には、肝吸いと香ものがついてきます。ここは主役の丼からいただくことにしましょう。
丼に粒山椒を粗びきにして少しかけてみますと、上品さがプラスされて、ずっと嗅いでいたい香りに。箸を入れるのがもったいなく勇気がいります。
大きな鰻にお箸を入れてみると、皮ごと軽やかにカットできてしまいます。
口に運ぶと、さらに柔らかさを感じることができ、とても美味です。十分に脂の乗った身は本当にふわふわで、皮にも甘味を感じます。固めに炊きあげられたごはんはつやつやで、タレのお味も上品。少な目にかけていただいているようですが、足りない人のために、タレだけ別容器にてご提供くださいます。心遣いもうれしいですね。「中」で鰻1匹ということですが、最も美味しいとされる、「5本もの」の鰻を使用されており、ボリュームもたっぷり。テンションやや高めを最後までキープしつつ、ぺろりといただきました。
香ものは、きゅうり、ニンジン、長芋の3種。鰻を引き立ててくれているかのように、とても控えめなお味です。
肝吸いも上品な薄味で、白い肝の食感を楽しむことができます。
噂にたがわず絶品のうな丼。本物をいただくのは、やはりよいものですね。
丼ものの他にも、頭の部分を高圧で煮込み、その後蒲焼きにした「かぶと焼き」や、ヒレの部分を何匹分かまとめてカリッと焼きあげる「ヒレ焼き」など、あまり目にすることのないメニューも。鰻の全部を余すところなく使ったメニューを展開されているところに、鰻への愛情を感じずにはいられません。
まとめ
もちろん使う鰻は国産のみ。
浜名湖の名店で17年も修行された店主が、地元大阪にて開業されたお店です。鰻だけでなく、お米、調味料、山椒などすべての素材と調理法において、自信とこだわりのつまった、まさしく名店中の名店です。
滞在中、電話がひっきりなしに鳴っていましたが、出られたのはほんの3割程度。これでは予約も取りにくいでしょうに。
たかだか丼に3000円もかけるのかと、つい悩んでしまうのですが、一口いただくとその思いは消え去ります。十分支出に見合う美味しさです。
ただ美味しいだけではなく、ビタミンAなどの栄養価が豊富で、夏に陥りがちな栄養不足を補ってくれる鰻。土用の丑の日に限らず、積極的にいただきたいものですよね。
極上の鰻で、暑い夏を乗り切っちゃいましょう。
にしはら
大阪市中央区北新町4-12
06-6926-4478
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