NHK大河ドラマ「真田丸」の影響で沸きに沸く大阪城。今回は大阪城の本丸に行って来ました。石垣の美しさでは日本一とも言われる大阪城。そして歴史ファンにとっては、大阪城の醍醐味ともいえる巨石などもご紹介していきます。
まずは重要文化財でもある大手門から、本丸に入って行きましょう。この場所から天守閣までのルートには、多くの見どころがあります。
大手門をくぐると正面にある3つの巨石。
横に3つ並んだ真ん中(写真上)が、城内で4番目に表面積が大きいとされる「大手目付石」。畳に置き換えると、約29畳の面積の広さがあります。
そしてその左手が城内5位の「大手二番石」、右が8位の「大手三番石」。いずれも小豆島や犬島、瀬戸内海の島から運ばれてきました。
そのまま多聞櫓を抜け、西の丸庭園を左手に道なりに進むと、「石山本願寺推定値」の石碑があります。
石山本願寺は、蓮如上人により建立され、11年にわたる信長との石山合戦の末に焼失。石山本願寺のあった場所については諸説あるものの、大阪城近辺にあったことはほぼ間違いないとされています。蓮如井と呼ばれる当時の井戸もここに移設されています。
11年もの長い間、信長が戦いをやめなかったのは、この上町台地の地の利に目をつけたためだとも言われています。高台にあるため水害にあいにくく、朝廷(京都)とのアクセスもよく、貿易を行うにも便利な上町台地の重要性を、信長は見抜いていたのですね。
さて、その奥には修道館という立派な道場があります。
近畿管区警察学校が前身の修道館は、柔道、剣道、なぎなたなど日本古来の武道の鍛錬道場。毎日夕方になると、近隣の児童・学生が胴着を着て、お稽古に励んでいます。
そのすぐ隣、桜門の正面には豊国神社があり、豊臣秀吉公の銅像が出迎えてくれます。
京都の豊国神社の府社となるこの神社は、秀吉を始め秀頼、秀長が祀られ、出世開運の神様として崇められています。毎年秀吉の命日である8月18日には「太閤祭」が行われるほか、書道や華道・茶道の教室も開催されています。各種祭事、特に神前結婚式も多く行われています。
豊国神社正面のこちらが、本丸の正門にあたる桜門。説明書きによると、門付近に植林された桜の木にちなんで名づけられたようです。
そしてこちらが、大阪城内で最も大きいとされる「蛸石」です。岡山の犬島から採取されたとされており、36畳分の広さがあります。この石の左下の部分に、蛸が昼寝をしているような模様があることが「蛸石」という呼び名の由来だとか。
大手門にしても、桜門にしても、大きな門をくぐった場所にこのような巨石を配置するのは何故だと思いますか?それには理由があるのです。「こんな大きな石を運ぶ力がある」ということを誇示するため、まさに威嚇のために、このような巨石を見えやすい場所に配置したといわれています。
それにしても100トンを超える巨石を、どのようにして瀬戸内海から運んで来たのでしょうか。歴史のロマンを感じずにはいられません。
さて、刻印石をご紹介しましょう。上の写真はいずれも外から桜門に向かって右側の石垣を写したものです。
大阪城にある石は、すべて各大名が持ち寄ったものなのですが、家紋が刻印されている石を見ることができます。刻印をする理由としては、所有者の明示、呪術的な意味合いなど諸説あるようですが、明らかにはなっていません。
上は播磨赤穂藩の池田家のもので、縦一列すべてに刻印が見られます。下は豊前小倉藩の細川家のもので九曜星といわれています。この他にも城内にはたくさんの刻印石があります。巡ってみるのも面白いかも知れませんね。
旧大阪市立博物館は、昭和天皇即位の記念事業として建築された左右対称のロマネスク様式の建物。戦時中は旧陸軍第四師団司令部庁舎として使われ、戦後は大阪府警の庁舎として利用されていましたが、大阪府警の移転に伴い、博物館として使われるようになりました。一時は7万点もの大阪の歴史に関する資料を展示していたのだとか。現在は使用も公開もされていませんが、この貴重な建物を利用して、レストランなどの複合施設として再開発されるそうです。
いよいよ天守閣が見えてきました。
立派な建造物です。写真を撮るなら北西に延びる坂からがおすすめです。入場口などが映り込まず、坂の勾配も手伝って、美しい天守閣を収めることができるでしょう。
天守閣の中には秀吉にまつわる資料や、当時の甲冑など貴重な展示品がたくさん。5階部分には「大阪夏の陣図屏風」があります。この屏風絵、もとは黒田家の所蔵物でしたが、のちに大阪市に売却されます。重要文化財にも指定されている貴重品で、陣取りや戦乱の悲惨を生々しく描いており、当時の様子をうかがい知ることができます。
これが屏風絵のレプリカで、場外に展示されています。
天守閣は内外からの多くの観光客でたいへん混雑しますが、入場料(600円)を支払ってでも一見の価値はあります。今なら大阪歴史博物館(徒歩すぐ)とのセット入場券(900円)がお得ですよ。
8F展望フロアからの眺めも、気持ちのよいものです。
さて、昭和に行われた地質ボーリング調査により、徳川が再興した城郭は、豊臣時代の石垣の上に建てられたことがわかっています。これまでは調査目的でのみ掘り起こされていましたが、大坂夏の陣から400年を記念して、一部を公開するための施設が建築されています。
豊臣の石垣は、大小入り混じった自然石が使用され、徳川のものと比較して荒削り。それぞれを見比べてみると面白いですね。
公開時期は2017年。天守閣右側に、公開されることになっています。新しい名所となりそうですね。
大阪城には無料の観光ガイドさんがいます。彼らは「NPO法人 大阪観光ボランティア協会」に所属する方たち。大阪城を細部にわたり知り尽くしているので、案内板に書かれていないようなことも教えてくれますよ。予約不要の定時ガイドもしています。目印は緑色の陣羽織。見つけたら気軽に声をかけてみてはいかがでしょう?
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