アムステルダムの中心街を抜けて、国立オペラ・バレエ劇場(ストペラ)やウォータールー広場(Waterlooplein)の近くを歩いていると、オランダらしい黒と白の跳ね橋に囲まれた、おしゃれなお店が立ち並ぶ通りにたどり着きます。通りの名前は、直訳すると「鋼鉄通り」というStaalstraatです。その一角に、ひときわ洗練されたデザインのショップ「Hotel Droog」が建っています。その店内には、「Café Droog」という素敵なカフェがあります。
コンセプチュアル・デザイン発祥の地
ショップの中に足を踏み入れると、煉瓦造りの古い壁とは裏腹に、店内は明るくて白を基調としたギャラリーのような空間になっていました。全体的に洗練された雰囲気がとても魅力的で、セレクトショップをメインに、イベント会場、さらに1室のみの屋根裏部屋アパートホテル(1泊300ユーロ程度)といった機能がある、一口では語りきれないような複合施設になっています。
実は、1990年代にオランダから始まった「コンセプチュアル・デザイン」の端緒を開いた「ドローグ・デザイン」というブランドによる複合ショップとしても、国内外に知られているスポットです。
今回は、その中でも一番使いやすくて親しみやすいカフェ「Cafe Droog」についてご紹介したいと思います。
知る人ぞ知る穴場のデザイン・カフェ
ショップ店内を通り抜けて、階段を上がっていくと、カフェにたどり着きます。階段の途中、とても個性的でかわいらしい中庭が見えると思いますが、こちらも入ってみることができるので、時間がある方はぜひ立ち寄ってみてください。個性的なデザインが生かされた、他にはない独特の魅力があるお庭です。
個性的かつ居心地のいいカフェスペース
カフェ店内には、広々とした空間にテーブルと椅子、そしてソファなどがすっきりと配置されています。窓際のテーブルも素敵ですが、それだけではなく、長テーブルや風変わりなデザインのソファとティーテーブルなど、座席一つとってもいろいろな選択肢があるので、どこに座るか迷ってしまうくらいです。
メニューを見て、悩んだ挙句、筆者は「ワイルドサーモンのディルとクリームチーズのサンドイッチ」を注文しました。
飲み物には、ホワイトティーを注文。すると、ぺたんこの低いデザインがかわいらしいティーポットとカップが運ばれてきました。こちらも、ドローグ・デザインのティーセットなのでしょう。
また、小さいココナッツクッキーがカップに添えられていました。サクッとした触感とココナッツの濃厚な香りが美味です。
質の高いフードメニューも充実
サーモンのサンドイッチは、1ピース5ユーロ、2ピース9ユーロとちょっと高めですが、とても美味しかったです。「MAMA Bakery」というパン屋さんによる全粒パンのスライスに、ディルの風味がしっかり効いたクリームチーズ、ワイルドサーモンとグリルしたアスパラガスが乗っていました。店員さんは「1ピースだとちょっと小さいけれど、よろしいでしょうか」と聞いてくれましたが、実際に食べてみると、軽い昼食にちょうどいいくらいの量だと思いました。パン食に慣れない人にとっては、このサンドイッチ1ピースと他にスープなどを1品頼めば、一食分にぴったりの量になると思います。
サンドイッチには、他にも「鯖サンドイッチ(鯖と海藻サラダ、ホースラディッシュマヨネーズ)」、「ツナのホットサンドイッチ(ツナサラダとオランダチーズ)」、「農家のチーズサンドイッチ(カレーピクルスとチーズ)、「農家のハムサンドイッチ(ハム、卵、マスタードマヨネーズ、きゅうり)」などのメニューが並んでいました。どれも他のレストランではお目にかかれないようなちょっとした工夫が施されていて、試してみたくなりますよね。実を言うと、オランダでは本当に平凡なありきたりのサンドイッチを提供するお店ばかりなので、貴重な存在だと思います。
朝食セットや、ブランチ、アフタヌーンティーセットなども用意されていました。お値段は10~20ユーロ程度で、比較的高めですが、筆者が今までこのお店で食べてきたものはどれもおいしかったので、セットメニューも値段に合う食事が楽しめるのではと思います。いつかきっと注文してみたいなぁと思い、筆者も狙っています。旅行の際には、ちょっと豪華な朝ごはんとして、このカフェに食べに来てみてはいかがでしょうか。
珍しいハーブティーなどのドリンクも用意
ティータイムには数種類から選べる紅茶やハーブティーはもちろん、各種のコーヒー、フレッシュジュースや、ジンジャービール、レモネードなどのソフトドリンクも充実しています。お値段は3ユーロ程度でした。
お酒を飲みたい方には、ワインやビールなども多種類から選べますし、チーズなどのおつまみプレートも注文できるので、ちょっと飲みたいときにちょうどいいと思います。何より、洗練されたデザインに囲まれて、おしゃれな雰囲気を楽しみながらお茶やお酒、食事を楽しめることに特別感があります。窓の外を眺めれば、アムステルダムの町並みが楽しめます。
時間を問わず多用途に使えるカフェ
このように、このカフェには朝食、ブランチ、昼食やその他の軽食など、いろいろな時間帯に楽しめるメニューが揃っています。そのためか、午後遅くになっても席がほとんど埋まっていることが多いんです。気軽なミーティングをする人たちや、デザイナーのような服装をしたおしゃれな人たちに愛用されているという印象を受けました。
それでいて、ラップトップコンピューターを広げて黙々と作業する人、友人とおしゃべりに夢中の人、子ども連れでソファに腰かける人、おしゃれな服装で決めたカップルなど……さまざまな客層を受け入れる、包容力のあるカフェだと思います。
コンセプチュアル・デザインが生きたインテリア
カフェスペースの奥には、レインボーカラーの本棚がありました。壁を眺めると、レンブラントの絵画をモデルに、絵に装飾を付けてアレンジした作品が飾られていたり、小さなオブジェがテーブルにそっと置かれていたり。見ていて飽きないインテリアです。
白い壁に原色のカラフルな家具が映え、アート作品が並んでいるという、個性的なインテリアですが、過剰にならず、どこか居心地の良い空間だと感じました。
店内の一角には小さなオープンキッチンがあり、サンドイッチなどはそこで準備しているようでした。バーとレジが一緒になったカウンターもとてもコンパクトで、合計3人の若い女性たちが忙しそうに働いていました。
また次に訪れるのが待ち遠しくなるような、素敵なデザイン・カフェです。ちょっとしたティータイムにも、デザイン好きな方のための休憩スポットとしてもおすすめです。
インフォメーション
名称:カフェ・ドローグ(Cafe Droog)
住所:Staalstraat 7B, 1011 JJ Amsterdam
営業時間:9:00~19:00
公式ウェブサイト:http://www.droog.com/cafe-droog
コメント