アムステルダム中央駅から港のある方角を臨むと、平たくて斬新なフォルムの白い建物が目に飛び込んできます。こちらが、アムステルダム市民のあいだでもいつも注目されている映画の博物館「アイフィルムミュージアム(EYE Film Museum)」です。今回、初めて訪問してみた模様をお伝えいたします!
アムステルダム中央駅至近の映画スポット
アムステルダム中央駅の港側を出てすぐの場所には、無料の連絡船乗り場があります。そこから船に乗れば、ものの数分で向こう岸のエリア「アイ地区(de IJ)」に到着します。アイ地区は、駅周辺に比べて人が圧倒的に少なく、広々としたレストランやホールがあり、どこか落ち着いた雰囲気が漂う地域です。
停泊所を降りて、進行方向の左手に歩いていくと、5分程度で独特のかたちをした建物の階段にたどり着きます。
存在感が大きいこの建築がアイフィルムミュージアムです。ウィーンの建築家デルガン・マイスルによって、建築は映画と同じように、光や動き、空間で遊ぶもの、というコンセプトで建てられたそうです。常識を打ち破るような、横に長く自由なフォルムをした建物を改めて眺めてみるととても面白いですよ。
ミュージアム兼シネマシアター
このアイフィルムミュージアムは、2012年にオープンした斬新なスタイルのミュージアムです。映画について学べる常設展と特別展を擁する博物館でもあり、4つのスクリーンで毎日20本近くの映画を上映しているシネマシアターでもあります。ワークショップやレクチャーなど、映画関連のイベントも多数開催されており、子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層の映画ファンを中心とした人々の注目を集めています。
階段を昇って自動ドアから入ってすぐの場所に、チケットカウンターがあります。建物自体に入るのに料金はいりませんが、EYEフィルムミュージアムの常設展や特別展を鑑賞する際は、料金がかかります。ミュージアムのチケットは、カウンターで10.5ユーロ(クレジットカード、PINコード式のカードのみ)、オンラインで事前に購入すれば10ユーロです。なお、現金では支払いができないので、お気をつけください。
映画を鑑賞する場合は、博物館の入場券とは別に、日時指定のあるチケットを買う必要があります。そちらもオンラインかカウンターで購入することができます。
映画がもっと好きになる博物館
常設展は、建物の地下部分に展示されています。映画の誕生から現在までどのように発展してきたのかという映画の歴史を体験しながら学べる展示です。映画撮影に使われていた道具や機械のコレクションはもちろん、映像をフルに活用した展示やクイズ、映画のなかに入れてしまう展示なども充実していて、参加型・体験型の展示が好きな方や子どもたちにとって、ゲーム感覚で映画についてより深く知ることができるものになっています。
気軽に触れられる体験型アートが満載
このミュージアムには、映画、しいては幅広い映像を使った表現方法について、いろいろな角度から学ぶことができるしかけがあちこちに施されています。
たとえば、普通のベンチだと思って腰かけると、その脇にはヘッドホンと解説文が添えられていて、有名な映画の音を使った効果について学べたり、アート作品がさりげない場所に設置されていたりします。
チケットカウンターからすぐ右奥に入った場所にある参加型のアート「Body Paint」は、壁に投影されている光の中で腕を振ったり体を動かしたりすると、動きに従って色が変わったり、刷毛のストロークのような動きが光になって投影されたりする楽しい作品で、大人も子どもも思わずはまってしまいます。その他にも、映画ポスターの豊富なコレクションや充実した常設展など、見どころはたくさんあるので、訪れた際にはぜひ自分の目でお気に入りを探してみてください。映像をつかった表現について理解が深まり、楽しめること請け合いです!
鑑賞の前には、チケットカウンターの脇にある英語のパンフレット「Welcome to EYE」を入手しておくとベストです。建物の構造が複雑なので、一見しても見つからないところに展示があることが多いので、こちらでどこになにがあるかチェックしてから見て回れば、ずっと効率的です。
こだわりが光る映画館としての役割
映画館としても機能しているこのミュージアムには、4つのスクリーンがあります。こちらの映画のセレクションはけっこうマニアックで、商業的なものというよりもアートとしての要素が強い作品だったり、社会的意義を持つメッセージ性の高い作品が上映されることが多いようです。新しい作品だけではなく、無声映画や白黒映画の時代から愛されている古き良き映画や、知られざる名作の発掘など、他の映画館ではお目にかかれないようなチョイスが楽しめます。
見応えのある特別展
私が訪問したとき、特別展はハンガリー映画のベラ・タール監督の初めての展覧会が開かれていました。展示室内には本物の柵や樹木が立つインスタレーションの部屋があり、ベラ・タール監督の字幕付きの映像作品が各部屋で上映されていました。
水面の眺めが最高のカフェレストラン
特別展を鑑賞し終わって薄暗い展示室の外に出ると、急に眺めの良い高い場所に出ました。そこは段々畑のような階段の一番上になっていて、カフェレストランの最上階部分でした。
この建物は港側が一面ガラス張りになっています。そのため、このバーレストランからはとにかく眺めが良く、日没の時間帯や夜景の色とりどりの光を映し出す水面のパノラマが楽しめるロマンチックなレストランに返信します。
入口と同じ階は、カフェとしてコーヒー一杯から気軽に利用できるようなカジュアルなスペースです。お茶を飲みながら建物の外で輝く水面を眺めたり、映画についての語り合ったりするのも楽しそうですね。私もケーキにお茶で一息入れました。ベイクドチーズケーキやポルトガルのお菓子「パステル・デ・ナタ」はとても美味でした。
ミュージアムショップには、映画関連のポスターや本、DVDやポストカード、セレブリティのお面などの面白グッズがいろいろと販売されています。また、パラパラマンガをこの場で撮影して作成できるサービスもあるようです。ちょっと見ただけでも、一風変わった個性的な雑貨など、思い出に残るおみやげが見つかりそうです。こちらもお見逃しなく!
(インフォメーション)
名称:アイフィルムミュージアム(EYE Film museum)
住所:IJpromenade 1, 1031 KT Amsterdam
開館時間:展示 毎日10時~17時
公式ウェブサイト:https://www.eyefilm.nl/en
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