オランダ王室の暮らしを拝見!ヘット・ロー宮殿(Paleis Het Loo)

オランダ

アペルドールン市にあるヘット・ロー宮殿は、オランダ王室の人々が暮らしていた邸宅が一般公開されているミュージアムです。Looというのはオランダ語で「木」という意味。その名前の通り、この地域は豊かな生態系を保持した森林が多く、緑あふれる美しい場所です。宮殿の前庭にも、大きな杉の木々が道に沿ってきれいに並んでいます。まさに木に囲まれた宮殿です。

宮殿の建物は、当時この地を治めていた「Stadtholder」の地位にあったウィリアムⅢ世という王と、イギリスから嫁いできたその妻・女王メリーⅡ世が1686年に別邸として建てたものです。

この宮殿では、オラニエ=ナッサウ(Oranje-Nassau)一家が17世紀から、現在のオランダ国王の祖母にあたるウィルヘルミナ女王の死までの期間、およそ300年の間住んでいました。20世紀後半になって修築が施され、1984年に国立ミュージアムとしてオープン。現在は、オラニエ=ナッサウ家の蒐集した美術品や調度品のコレクション、当時のまま保存されたインテリア、そして広大な庭園を実際に足を踏み入れて鑑賞することができます。

チケットは13歳以上の大人が14.50ユーロで、特別展を観たい場合は別途料金がかかります(2017年8月現在の「Chapeaux!展」は3ユーロ)。

宮殿の歴史についてより詳しく知りたい場合は、ガイドツアーに参加するのがおすすめです。季節によって、宮殿内ツアー、庭園ツアー、植物ツアーという3種類のツアーが用意されていて、とてもおもしろそうです。一人3ユーロで参加できます。ただ、基本的に説明はオランダ語なので、特別に英語でのガイドが聞きたい場合には、1グループ25ユーロで特別に予約する必要があるそうです。手軽なものでは、オーディオツアーがあります。興味のある方は是非試してみてください。

 

眼を驚かす豪奢な仕掛け

 

入館すると、王族が実際に暮らしていた部屋のなかを通って、細部を鑑賞することができます。重厚なインテリアには壁全体を覆う大きなタペストリー、そして当時流行していたという中国の陶器のコレクションが印象的です。ミニチュアのものから大きな花瓶まで、数えきれないほどたくさんの陶器が多くの部屋に飾られています。

客間や広間は豪奢で、重厚なインテリアに圧倒されるばかりですが、寝室や王女様のための子ども部屋など、一つひとつキャプションを読みながら鑑賞していくと、王室の暮らしや人々の個性が伝わってきます。英語での説明も充実していたので、オランダ語が分からなくても問題なく楽しめるミュージアムです。

王様のベッドのある寝室では、豪華なベルベットで形作られた王家の紋章が目に飛び込んできます。王様自身のベッドルームでありながら、来客をよく泊めていたというこの寝室には、王家の格式を印象づけるためにこのような装飾がなされているのだそうです。

その他にも、訪れる人を圧倒するために用意された豪華な装飾や調度品、王族の肖像画などの美術品が所狭しと配置されています。多くの部屋には、天井に繊細な装飾のついたシャンデリアがまばゆく光っています。私たちミュージアムとしての訪問者も当時の王様のお客の一人になった気分で、「見事なインテリアですね!」と歓声を上げたくなるような仕掛けが多く施されています。

住んでいた王室の人々の個性がうかがえる部屋として印象に残ったのは、狩猟が趣味だったウィリアムⅢ世の「狩猟の部屋」部屋の壁には、狩りで得た手柄である大きな鹿などの首や頭蓋骨が所せましと飾られています。また、豹やヒグマ、アナグマなどの毛皮を敷いた応接間など、独特のインテリアが異色を放っています。現在、宮殿のすぐ近くにあるデ・ホーヘ・フェルフェ国立公園で狩猟を楽しんでいたという王様ならではのお部屋です。

また、王女様のためのお部屋(Play roomもとてもかわいらしく、心に残りました。室内には西洋人形やピアノのミニチュア、専用の小さな椅子やソファなどの家具が置かれています。デルフト陶器を思わせる白地に青のティーセットは、実は中国から輸入したもので、当時大流行していた高価なものなのだとか。壁には、王女様らしき少女の優雅な肖像画がかかっていて、ほほえましい空間でした。

 

端正な美しさのある庭園

 

建物の背後に当たる場所には、フランス式の巨大な庭園が広がっています。果樹やハーブが植えられたキッチンガーデンや、珍しい草花が植えられた丹精な庭が、大きな噴水を取り囲むようにして美しく配置されています。庭の左右は堤のように小高くなっていて、散歩道が整備されていました。森に囲まれた土地にあるので空気は新鮮でおいしく、静かな時間が流れていきます。優雅な気分で散策するのにぴったりのとっておきスポットです。

 

宮殿はとても広く、たくさんの部屋があり、それぞれの展示物も見ごたえがあります。建物内のすべての部屋を観て回るだけで、2時間ほどかかります。庭園も広大で、ざっくり巡るだけでも30分ほど必要です。もちろん鑑賞のペースにもよりますが、さらに特別展も見るとなると、3時間は鑑賞に必要なミュージアムだと思いますので、時間配分にはくれぐれもご注意ください。

 

なお、宮殿の中にあるギフトショップには、王室御用達の紅茶の茶葉やビスケットなどのお菓子が、特別な紋章の入った包みで販売されています。また、オランダ王室のメンバーのブロマイドのような写真のハガキもバリエーション豊富なので、王室ファンには絶対に見逃せないショップだといえます。オランダで国民にこんなに愛されている王室のグッズを観光のお土産として日本に持ち帰ってみるのも、話題のひとつになっておもしろそうです。

オランダのロイヤル・ファミリーの暮らしに触れるヘット・ロー宮殿の展示は見に行って損のないものでした。ぜひ一度訪れてみてください。

 

インフォメーション

名称:ヘット・ロー宮殿(Paleis Het Loo)

住所:Amersfoortseweg,Apeldoorn 7313 AA

開館時間:火曜から日曜 10:00~17:00

公式サイト:https://www.paleishetloo.nl/en

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