アルクマールの街歩き

オランダ

チーズマーケットで有名なアルクマール(Alkmaar)の街は、実はチーズだけではない、街としての魅力を持っています。例を挙げると、オーガニック、こちらでは「BIO」と呼ばれている自然栽培の農産物が使われているレストランや食品店や、外観も内装も美しい歴史ある大教会から、ショッピングに利便性の高い商店街、近代アートの美術館など。運河の流れる古い町並みには独特の魅力があり、狭い路地に迷い込んでいくのも楽しみのひとつです。さっそくご紹介していきます。

歴史あるアルクマールの旧市街

アルクマールの街には、1573年にスペイン軍に包囲されたという歴史を持っていて、そのときの抵抗の証しとなる倉庫などは今でも残されています。犠牲も多かったそうですが、スペイン軍の手からいち早く自由になった街のひとつとして語り継がれており、毎年10月8日になると、解放の日を記念してお祭りが行われています。

アルクマールの街中を歩くと、ショッピングに最適な通りがいくつも見受けられます。その中でも、Grote Sint Laurenskerkからチーズマーケットの会場であるWaagspleinに行く途中にあるLangestraat、そしてその通りの左右に並行して通っているLaatとMagdalenenstraatには、洋服や服飾雑貨を始めとするお店がずらりと並んでいます。街の規模が大きくはないことと、服なら服、サングラスならサングラスと、同じ種類のお店が隣り合っていることが多いので、ショッピングに最適な街と言われています。

街中には、オランダ・チーズ博物館ビール博物館、ビートルズの個人コレクションが並べられているビートルズ博物館、街の歴史と近代美術が展示されているStedelijk Museum Alkmaarチーズの貯蔵倉庫など、訪れてみたい特徴のある観光スポットがいくつもあります。チーズマーケットの行われる広場に面した美しい時計塔を持つWaaggebouwも有名です。運河を渡った向こう岸から写真を撮ると、全体が撮影できるのでおすすめです。

 

見ごたえある聖ラウレンス教会

 

アルクマールの観光名所の中でも個人的にはおすすめなのは、立派な建物の外観がひときわ目を引く聖ラウレンス教会です。起源は西暦600年頃にまで遡るというこの教会は、増築や改築を重ねて、15世紀ごろにブラバンド・ゴシック様式の今の姿になったのだといわれています。1572年にカトリックからプロテスタントの手にわたったものの、他の教会のように装飾や所蔵品が暴力的に失われることはなく、美しさを維持し、現在に至っていることが大きな特徴です。

建物の中に足を踏み入れると、外の喧騒とは打って変わった静けさに包まれます。窓の装飾やステンドグラスも美しいのですが、何よりも内装のディティールとオルガンが見どころです。

この教会は世界的にも有名な2つのオルガンを擁しています。チーズマーケットの行われる毎週金曜日の午後にオルガンコンサートが行われているので、金曜日にアルクマールを訪れた方はぜひコンサートも合わせてチェックしてみてください。

教会の奥にある、16世紀にアムステルダムの画家によって描かれた天井画も見ごたえがあります。天井がとても高く、地上からは距離が遠いので少し見えにくいのですが、ミステリアスで特徴的な画風で「最後の審判」が描かれているのが確認できます。2003年から行われた修復作業によって鮮やかさを取り戻し、2011年に再公開された作品なので、訪れた際にはぜひ注目してみてくださいね。

◆こちらの作品「最後の審判」についてのビデオ

教会への入場には、チケットは不要です。教会内のお土産売り場で、希望者が募金をするシステムになっています。特別な展覧会などがある場合やコンサートには、チケットが必要な場合があるので、スケジュールとあわせて公式ウェブサイトで確認してください。

 

聖ラウレンス教会(The Grote Sint Laurenskerk)

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ビオの街アルクマール

アルクマールの街は、Leeghwaterと呼ばれる酪農の盛んな地域に囲まれています。広大な土地を生かして、ダイナミックな酪農が行われており、昔ながらの風車がいくつも残されているので、この地域では街から遠くない場所でオランダの田舎の典型的な風景を楽しむことができます。

農産物や酪農が盛んなので、美味しい健康な食生活に対する意識が高いのでしょうか、アルクマールの街中のあちこちでBIOという「自然栽培の食品」のサインをよく見かけます。

ビオロジック、フェアトレード、リサイクル商品を扱うお店だけを集めた市内の地図も用意されていて、その加盟店では小さな専用マップをもらえます。ビオロジック食材を使ったカフェやレストラン、精肉店まであるので、地図を片手にBIOめぐりすることができます。この地図はEerlijkWinkelenというオランダ国内約50の街が参加しているプロジェクトの一環で作られたものです。アルクマールの街はそれほど規模が大きくないのに50店舗以上がリストアップされていて、アルクマールの街の人の意識の高さがうかがえるようです。このプロジェクトについて、詳しくはhttp://www.eerlijkwinkelen.nl/をご参照ください。

こちらは、地元で生産されたオーガニック食材を使ったカフェLunchcafe ECHT Alkmaar。EerlijkWinkelenの地図を頼りに訪ねてみました。木や植物を使ったナチュラルなインテリアに囲まれて、オーガニックの食材や地元産の素材の良さを生かした食事が楽しめます。コーヒーや手作りのサンドイッチやケーキが味わえて、もちろん地元のオランダチーズを使ったものも多数あります。地上階からテラスが吹き抜けになっていて、開放的な雰囲気で、天気のいい日は最高です。

Lunchcafe ECHT Alkmaar  

http;//www.echtalkmaar.nl

 

小道を散策するのも楽しい街

旧市街の細い路地を歩いてみると、チーズのお店はもちろん、間口の小さいセレクトショップやコンセプトショップがたくさん並んでいました。その脇では、地元の人もショーウィンドウを眺めてあれこれとおしゃべりを楽しんでいます。犬の散歩をする人や学校帰りの子どもたちなど、地元の人の生活と今も密着している旧市街のエリアは、生き生きとしていて魅力があり、散策するのに最適です。

この他、Canadapleinという駅寄りの広場には、Stedelijk Museum Alkmaarという近現代アートのミュージアムがあり、時期によっては特別展が楽しめるほか、アルクマールの街の歴史について学べる展示が用意されています。ミュージアムの隣にはアルクマールの公立図書館があり、観光客でも誰でも自由に入ってソファで休憩したり、観光情報やイベントインフォメーションについてのパンフレットをもらえたりする便利なスポットです。

 

規模は決して大きくなくても、見どころがギュッと詰まった街・アルクマール。小旅行にぴったりの、のんびりとした空気が漂う素敵な場所なので、ぜひ訪れてみてくださいね。

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