『ドイツ人』とはどんな人なのでしょう?

ドイツ

ドイツ人と聞いてどんな人を思い浮かべるでしょうか?
背が高くて体格が良い。真面目、几帳面、時間厳守」といったイメージでしょうか。
私の個人的な意見としては、「まったく当てはまらない人たちもいるが、概ねこの通り」だと思います。

よくドイツ人と日本人は似ていると言われますが、確かに似ている所もあります。でも人付き合いの仕方、他人との接し方や発言など、日本人とまったく違う所もあるため、カルチャーショックを受けたことは数知れずあります。
ドイツで住んでいる期間が長くなると、このような違和感は次第に諦めに代わっていくのですが、今回この記事を書くことで改めて「ドイツ人はどういう人か」という事について考えていきたいと思います。

ここで言う『ドイツ人』とは?

この内容はドイツ在住20年以上の私の個人的な主観ですので、違うと思う方もいらっしゃる事を承知の上で書きます。また実際にそうでない人たちも多くいると思います。
また「ドイツ人」という表現に違和感を感じながら、この言葉を使っています。あまり知られていないですが、ドイツは現在では公的に移民国家となっており、民族的にドイツ人でない人たちも多く住んでいるからです。

ドイツ関連本を読んでいると必ず「ドイツ人は〇〇〇」という表現を見かけますが、そのたびにいつも違和感を覚えます。というのもその対象としているドイツ人が「民族にドイツの血を持っているドイツの人」を指すのか、「民族や血統は関係なく、ドイツの国籍を所有する人」を言うのか、明確に記述されていないためです。そのためここでははっきりさせておきましょう。
私がこの記事で「ドイツ人」という言葉を使うことにしましたが、これは民族や血統は関係なく、ドイツの国籍を所有する人」の意味で便宜上『ドイツ人』という言葉で書いています

いわゆる移民の人たち、つまりバッググラウンドがドイツ以外の国の人たちであっても、生まれも育ちもドイツだと「イメージされているような生粋のドイツ人」になっている傾向が強いからです。

郷に入っては郷に従えだからでしょうか。ドイツ社会で生きていくには、ある出来事が例え自分の意思に反していても、それを認めないと物事がうまくいかないため次第に順応していくことになります。
また出生地がドイツの場合は両親が外国人やドイツ人とのハーフであっても、ドイツ的な考え方になる人が比較的多いのではと思います。
因みに私は国籍、生まれ、育ち共に日本です。大人になってからドイツに移住したタイプですが、やはりこの20年の間にドイツ人的になった所は多々あると思っています。良くも悪くもですが(笑)。

ドイツ人はこんな人だった!

前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。
ドイツ人について書くためにドイツ人の性格やライフスタイルについて箇条書きにして良い面、悪い面と考えてみました。そして気づいたのですが、「悪いと思っていた面は、意外なところで良い面として機能している」ということです。
まだまだあるとは思いますが、思いつく限りでご紹介しましょう。

典型的なドイツ人の性格を箇条書きにするとこんな感じです。
合理的、真面目、頑固、直接的に物事を言う、時間厳守、習慣や規則を遵守する、人見知り、等々。

あなたの周囲にもこんな人がいらっしゃいますか。もしいたら、その人はドイツ人っぽいのかもしれません。

合理的

→ (利点)何事においても無駄がないため、目的を達成しやすい
→ (欠点)何においても合理的に判断するため、情けや人情という言葉が通じない

今ではずいぶんと慣れましたが、人情の文化が自明のことだと思っていた私は、ドイツ人の合理的な考え方によく驚かされたものです。
勉強や仕事でこちらがどんなに頑張っても、到達すべきレベルに達していなければダメと判断されるのです。凹むこともありましたが、「なぜダメだったのか」を冷静に分析できるようになったのは大きな収穫だったと思います。
よくよく考えてみると、自分が「頑張って努力した」事には無駄が多かったり、設定値が誤っていたことに気づかされるのです。その結果、「自分に合ったレベルでの最適解を求める」ようになり、そのレベルに達したら次はもう少し高いレベルの目標を達成するために頑張ろうと思えるようになりました。

上のように書くと「情けや人情は無駄なのか?」と思われるかもしれませんが、決してそのような意味ではありません。私は、情けや人情は日本の文化を豊かにしている贅沢な余剰だと考えています。精神を豊かにしたり、人間関係を円滑にする潤滑油のようなものではないかと思っています。

真面目

→ (利点)何事に対しても真面目に深く取り組むため、到達点が高い。人付き合いにも真面目なので、誠実な人が多い。仕事でも私生活でも良好な関係を築ける
→ (欠点)真面目過ぎるため、雰囲気が重すぎて疲れることも

真面目であることは欠点もありますが、総体的には利点が大きいと思われます。
ドイツ人の真面目さとは、別の言葉で言い換えるならば「物事の本質を追求する性格」だといえます。身近な例では小学校の授業です。発表したりレポートを提出する際にも、一つのテーマに対して徹底的に追求し、自分の意見を明確にすることが求められます。また評価の内容も厳しいです。

でも、小さい頃から何事に対しても深く向き合う教育をするため、自分なりの見方が培われます。その結果、何事においても到達点が高いレベルに達成できるようになるのではないかと思ってます。

一方で、真面目である事の大変さもありそうです。
ドイツ人は「自分を皮肉る」事をできない(あるいは知らない?)人が多いような印象を受けます。ベルリンに住んでいて話していて、「このジョークは面白い!懐かしいノリ!」と思う人はたいてい移民系バッググラウンドのある人たちなのです。生粋のドイツ人は、やはり生真面目といってもいいくらい真面目な人たちなのかもしれません。

でも時としてぐったりと疲れさせられることも。
例えば子供の学校の保護者会などでは、仕事が終わった時間の夜7時くらいから始まり、2時間以上くらい延々と話し合いが続くのです。内容は学校の給食や時間割、上級生とのいざこざ等々。こんな些細なテーマで(最も彼らにとっては些細ではないのでしょうが)長々と(議論しているのを見ると「真面目過ぎでは?」と思わされます。

ドイツではうつ病にかかる人が多く、社会病とも呼ばれています。特に寒い冬になるとうつ病になる人が多いようですが、その理由の一つには真面目な性格が関係しているのではないかと思ってます。

頑固

→ (利点)自分の意思を貫徹する事ができる
→ (欠点)相手が大人だと何を言っても今後変わらない可能性大であるため、自分が折り合いをつけるしかない

ドイツ人の頑固さはたまに人間性を疑いたくなるほどです。自分の意見が明らかに間違っている事が分かった後も、とんでもないこじつけをしてまで自分の正当性を主張し続けたりします。その態度にはとても違和感を感じるのですが、理由は「自分の過ちを認めることが、全てにおいて非を認めることになる」文化から来ていそうです。
もっと軽く受け流せないものかと思うのですが、なにぶん真面目な人たちなのでなかなか難しいみたいです。

こう書くとドイツ人は妥協しないのか?と思うかもしれませんが、政治の世界は妥協ばかりです。
政治の構造上、一党だけが政権を取る事がまず無いので、政府は主張が異なる政党の連立政権で運営されています。そのため、選挙公約とは異なる政策が実施されることになります。政治学者によれば、民主主義において妥協は不可欠だそうです。

直接的に物事を言う

→ (利点)大半の場合は言葉の意味を額面通りにとらえて良い。裏の意味をくみ取る必要が無いので楽
→ (欠点)ズタズタに傷つくこともはっきりと言われる

これはもう慣れるしかありません!
ドイツ語ができなかった当時、買い物先でも大学でも必ず『あなたが何を言っているのかわからない』と言われて落ち込んだものです。友人のドイツ人にそのことを拙いドイツ語で伝えたところ、『それは仕方がない。伝わるドイツ語を話せるように、もっと勉強して上手くなるしかない』などと言われたりしていました。驚かされるのは、この友人は自分では優しい言葉をかけて慰めているつもりで言っているところです。やはり日本人とはぜんぜん違うと思ってしまいます。

時間厳守

ドイツ人は自分の時間を大切にする人たちです。約束の時間に遅刻する事は相手のプライベートを邪魔することになると考えているので、待ち合わせの時間に数分間遅れることはたまにあっても、基本的に時間厳守の人が多いです。

仕事のアポでも必ず時間厳守で、万が一遅れる場合は連絡を入れてくれますこの点についても欠点は見当たりません。

→ (利点)時間厳守であることでお互いに気持ちの良い付き合い方ができる

注意:友達の家のパーティーなどに呼ばれたら、通常は約束の時間より15分程度遅れていくのが礼儀となっています。準備に時間がかかっていることを考慮して、わざと遅れて行くのだそうです。

人見知り

→ (利点)人見知りでシャイな人たちが多いので、こちらが話しかければどんどん話してくれることも
→ (欠点)話しかけてくれるのを待っていると、永遠に待つことになるので要注意。自分が話したければ、話しかけてくれれば良いというスタンス

これは本当に不思議なのですが、パーティーなどで新しい人達が大勢いる場に行っても、なかなか新しい人と話そうとしない人が多いです。「プライベートなことは質問しないのが礼儀」という考えがあるからでしょうか、せっかく話し始めても当たり障りのない会話でなかなか突っ込んだ話に発展しないことも多々あります。
パーティー会場で誰かが一人ぽつんとしている人を見かけることは多々ありますが、「気を使って話しかける」的な事はまずしない人たちです。ただよくよく聞いてみると「あの人は一人でいたくて一人でいるのだから、そっとしておくのが礼儀だ」と考えるそうです

この辺りも日本人とずいぶん違いますね。

ドイツ人について語りたいことはまだまだありますので、また機会を改めてお伝えしたいと思います。

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