ベルギーと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?チョコレート、ワッフル、小便小僧などなど。残念なことに、パリの同時テロ犯の潜伏先であったり、2016年3月22日に空港とブリュッセルのメトロ駅にてテロが発生したため「危険」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
実際に、テロ以降観光客が激減しています。しかしベルギーで生活をしていると、テロ前後で目立った変化はありません。
一人でも多くの人にベルギーのことを知ってもらえるよう、ベルギーがどんな国なのか紹介したいと思います。
概要
ベルギーの正式名称はベルギー王国で、フランスとオランダに挟まれた小さな国です。
ドイツとルクセンブルクとも国境を接しています。国土面積は3万平方km、人口は1100万人ほどの小さな国です。日本との時差は8時間で、サマータイム時は7時間となります。
言語
ベルギーで特筆すべきことは、公用語が3つもあるということです。多くの人はフランス語とオランダ語の2カ国語が公用語だと思っていますが、実は3つ目があります。
ドイツと国境を接している地域ではドイツ語が公用語として使われていますが、全人口でみると1%程です。
そのため、街中でドイツ語を見かけることは非常にまれです。スーパーなどで売られている商品はどちらの地域でも流通できるように2カ国語、もしくはドイツ語を加えた3カ国語の表記が一般的です。
ベルギーは大きく3つに分かれています。北部のフランデレン地方、南部のワロン地方、そしてブリュッセル首都圏です。フランデレン地方ではオランダ語が公用語として使われていますが、その中に位置するブリュッセル首都圏では主にフランス語が使われています。オランダ語圏に囲まれているブリュッセル首都圏は特異な存在です。南部のワロン地方ではフランス語が使われ、その一部にドイツ語が使用する地域がある、と少し複雑です。
ベルギー全体では6割の人がオランダ語を第一言語として使っています。興味深いことに、オランダ語圏の人はフランス語、英語を話しますが、フランス語圏の人はオランダ語と英語を流暢に話さないことが多いようです。これは教育の差であり、経済格差にも繋がっています。
注意すべきは、フランス語、オランダ語で地名の表記が違うことです。写真は国鉄のブリュッセル中央駅ですが2つの表記があります。
フランス語表記が”Bruxelles Central”で、オランダ語が”Brussel Centraal”です。
「セントラル」のこれくらいの綴りの違いであれば同じ駅だと言うことが分かるかと思います。
タリーズなどの国際列車の発着駅であるブリュッセル南駅はフランス語では”Bruxelles-Midi”ですがオランダ語では”Brussel-Zuid”です。一見すると違う駅に見えますが、同じ駅ですのでお間違えのないように!
気候
日本に比べると緯度が高く、また夏はサマータイムを導入しているので日照時間が非常に長いです。
夏至のころは22時頃にようやく日の入りとなるので、観光にはもってこいです。一方で冬は9時前まで日が出ず、17時より前に日が沈んでしまいます。
日本に比べると夏は湿気が少なくからっとしており、反対に冬は雨ばかりのため湿度が高いです。ベルギーではころころと天気が変わることから「一日に四季がある」と言われています。
晴れていたと思ったら、いきなり曇り雨が降ってきたということがよくあります。
長雨になることはあまりありませんので、もし雨に遭遇したらベルギー人のようにカフェなどに入って休憩するとよいでしょう。
物価
観光する上でも、生活する上でも気になるのが物価だと思います。宿泊費に関してはピンからキリまでありますが、日本と変わらない感じです。
交通費は近年値上がりしているとはいえ、そこまで高くはありません。例えば、ブリュッセルから古都アントワープへは電車で40-50分、2等車で片道7.4ユーロです。
ベルギーは小国なので手軽に隣国に行くことが出来ます。時期や時間にもよりますが、パリやアムステルダムへの特急電車は片道29ユーロからあります。
食料品に関しては一概には言えませんが、乳製品やパン、パスタなどはベルギーの方が安いです。例えばプライベートブランドのパスタは500gで50セント程度です。
お酒に関してはビール、ワインとも日本に比べると格安で手に入ります。しかし、洗剤や紙製品などの生活雑貨は割高です。その他にベルギーのほうが高いものとしては、外食です。
ごく一般的なレストランで夕飯を食べた場合、少なくとも1人35ユーロはします。日本のように格安で手軽に食べることができる外食があまり多くありません。
サンドイッチ、ケバブ、ピザ、バーガーくらいでしょうか。ベルギーで生活をする上で、現地のスーパーで安く調達できる食材のみで自炊するのであれば日本より安く、もしくは同じくらいで出来ます。しかし、ベルギーで日本食材を買うと日本より高いので、日本食中心の生活となると食費は高くなってしまいます。
生活習慣
ベルギーでは、日曜日に開いているスーパーなども一部ありますが、基本的には休みです。日曜日は家族と一緒にゆっくり過ごすという考え方です。
しかし、実際に生活してみるとスーパーや街中にある店などが開いていないというのは非常に不便です。旅行でベルギーに来る人は心配になるかと思いますが、多くの観光地の店やレストランは日曜日でも開いていますので安心ください。ただ、観光地でも服屋や雑貨屋などは場所によっては日曜日は営業していません。
その代わりに、金曜日の営業時間が長く設けられている場合があります。美術館は基本的に月曜日が休館日です。そのため、日曜日に観光する人は買い物より美術館がオススメです。
ベルギーでは7-8月に多くの人が2週間から1ヶ月ほどのバカンスを取ります。日本では考えられないほど長いバカンスです。
ベルギーの人はバカンスのために働いていると言っても過言ではありません。このバカンスのために様々な仕事が滞ります。
チェーン店はバカンスシーズンでも長期の休みを取りませんが、個人経営の店(チョコレート屋やパティスリー、チーズ屋など)は必ずと言っていいほどバカンスで店を閉めますので、お目当ての店がある場合には事前に休みを調べていくといいでしょう。
まとめ
ベルギーの首都ブリュッセルは「EUの首都」とも呼ばれており、EUの主要機関が置かれている国際都市です。
そのためベルギーには多くの外国人が暮らしています。また車や電車で1、2時間ほどで隣の国に行け、非常に便利です。このような立地もあり、外国人へは比較的寛容な国民性です。
ブリュッセル、リエージュはフランス語圏ですが、アントワープ、ブルージュ、ゲントはいずれもオランダ語圏です。
そのため違う都市に移動するだけで話している言語が変わるというプチ外国体験ができるベルギー、短期の旅行でも長期の滞在でも貴重な経験ができると思います。
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