オーストリアの首都ウィーンから南へ約200㎞。電車やバスで約2時間半の場所に、オーストリア第2の都市グラーツはあります。古い石畳の情緒ある小道、高台から見下ろすレンガ色の屋根の美しい町並み、おしゃれでモダンな建築物・・。地方の小都市と侮ることなかれ、グラーツの街は見どころが満載です!今回は、シュタイアーマルク州の州都、グラーツの魅力に迫ってみたいと思います。
1.ウィーンからグラーツへの行き方
ウィーンからグラーツへは、公共交通機関で行くのならば、電車又はバスで行くのがよいでしょう。電車で行く場合は、オーストリア国鉄ÖBBでチケットを購入します。窓口でもオンラインでも購入することが可能です。
■電車で行く場合
オーストリア国鉄(ÖBB)のサイト
https://www.oebb.at/de/
ウィーンからグラーツへの直行電車は、ほぼ1時間毎に運行しています。値段は定価で買う場合、指定席(3,5ユーロ)も合わせて、大体40ユーロ程になります。乗車時間は約2時間半とそれなりに長いので、指定席を取っておいたほうが安心かもしれませんが、実際はウィーン中央駅(Wien Hauptbahnhof(ウィーン ハウプトバーンホーフ))から乗るのであれば、自由席でも十分に座れることが殆どです。車窓からは、自然豊かなオーストリアの田舎の風景が楽しめます。
グラーツの駅から、旧市街までは少しだけ離れています。徒歩15~20分程度の距離ですし、道も一本道を直進するだけなので大変わかりやすいのですが、重い荷物を持っている場合などは、市電を利用すると便利です。
市電の乗り場は、国鉄駅を出てすぐの場所にあります。切符は、1回券(大人2,8ユーロ、15歳以下1,4ユーロ)と1日券(6,4ユーロ)が車内で購入可能ですが、車内の券売機は小銭、またはカードしか使えないので注意しましょう。
電車の旅は、車内で動き回ることができるため快適ですが、もしも予算を押えて移動したいのであれば、バスがお勧めです。
Flixbus(フリックスバス)のサイト
https://www.flixbus.at/
フリックスバスは、ウィーンからほぼ毎時グラーツへの便があります。バスの利点はとにかく安いこと。時間帯にもよって値段は変わるのですが、大体10ユーロ前後でチケットを手にいれることができます。バスの乗り心地はなかなか良く、もちろんトイレもついています。
電車の場合、グラーツの鉄道の駅は、旧市街から少し離れているため、街までは徒歩で15分~20分程度歩くか、市電に乗る必要があるのですが、バスはウィーンの街中から、直接グラーツの街中まで走っているので便利です。バスの変更やキャンセルもオンラインでスムーズに行えるのも、便利な点の一つです。
2.グラーツの見どころ
グラーツの街は特に大きいわけではないのですが、多くの見どころに溢れています。グラーツの旧市街に着いた時に、まず目に入るのは、丘の上にそびえるグラーツのシンボルともいわれる時計台(Uhrturm(ウーアトゥルム))ではないでしょうか。
■シュロスベルクと時計台
もともとは中世の防備施設だったものが、1560年頃に現在の姿になったのだそうです。1712年以来、時を刻み続けているこの時計台、注意して観察してみてください。何かおかしなところがあることに気づきませんか?実はこの時計、短針と長針が逆になっているのです。元来時計塔には時を示す長針しかなかったため、後に分を刻む針を取り付けたときに、長針と短針が逆さまになってしまったのだそうです。
さて、この時計塔があるのは、Schlossberg(シュロスベルク)と呼ばれる丘の上。時計台を近くで見たければ、まずはこの丘に登らなくてはなりません。
体力に自信がある人ならば、崖に沿って260段の急な階段を上っても行っても良いですが、そんな元気はない、という人は100年以上も前から存在するというケーブルカーに乗ると良いでしょう。ケーブルカーはグラーツの市電・バス用の切符で乗ることができます。
シュロスベルクには、美しい散歩コースがあり、時計台以外にも見どころがたくさん存在しています。
例えば、この鐘楼(Glockenturm)。
1809年にフランス軍に包囲攻撃された時、城砦の防備施設は全て破戒されてしまいましたが、この鐘楼と時計台は市民に買い取られたことで難を免れました。中には「リースル」と呼ばれる、1587年にトルコ軍に打ち込まれた101個の大砲の球を溶かして作られた鐘が入っています。今でもなお、この鐘の音は7時、12時、19時の一日3回、グラーツの街に響き渡っています。
その他の見どころとしては、なんといってもこのグラーツの街並みなのではないでしょうか。
丘の上から眺める、赤茶色の屋根が連なるグラーツの街並みは、おとぎ話の世界のようでとてもロマンチックです。筆者お勧めの一番の絶景スポットは、時計台の前にある見晴らし台から、地上に降りるFelsensteig(フェルゼンシュタイク)と呼ばれる階段付近です。
■中央広場
美しい中央広場(Hauptplatz(ハウプトプラッツ))はグラーツ旧市街の中心にあります。
広場の中心にある「シュタイアーマルクの王子」と呼ばれていたヨハン大公像の立派な噴水がとても印象的です。広場に面して、丸屋根が美しいグラーツの市庁舎(Rathaus(ラートハウス))が建っています。
中央広場沿いの建物で目を引くのは市庁舎だけではありません。
ルエッグハウス(Luegg Haus)と呼ばれる、広場の角に立つ、豪華な化粧漆喰を施されたファサードの建物も必見です。ちなみに、ルエッグハウスのファサードの壁画には、いくつか顔が隠されているのだそうです。時間があれば是非見つけてみてはいかがでしょうか?。
■州庁舎中庭
市庁舎のちょうど裏側あたりにある、州庁舎(Landhaus(ラントハウス))の中庭は、建築家ドメニコ・デラリオによって設計された、イタリアルネッサンスの傑作です。整然と並んだ、たくさんの円窓についつい見とれてしまうことでしょう。
■ヘレンガッセの壁画の家
中央広場からのびる、幅広い通りヘレンガッセ(Herrengasse)は絶好のお買い物スポット。おしゃれなお店がたくさん立ち並び、お土産探しにもピッタリの場所です。
このヘレンガッセ沿いに建つ、壁画の家(住所 Herrengasse 7)のファサードは、バロックの巨匠ヨハン・マイヤーにより1742年に描かれたフレスコ画です。ギリシャ・ローマ時代の神話の神々が描かれているこの壁画、大変印象深いので美術ファンはお見逃しなく。また、この家の中庭は、「公爵の中庭」(Herzoghof(ヘルツォークホーフ))と呼ばれ、大変有名なので、是非覗いてみてくださいね。
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