必見!ローマを代表する光と色の芸術モザイクを堪能しよう

ローマ

ローマで観光していると、古代ローマの遺跡でも教会でも美しく飾られていたモザイク芸術を見ることができます。小さな破片をひとつひとつ組み合わせて作る豪華なモザイク細工はローマを代表する美術のひとつです。ローマ皇帝の宮殿やテルマエロマエの床に描かれたモザイクは、2000年の時を超えても壊れることなく、今なお当時の姿を美しく伝えています。ここではモザイクの見どころスポットをご紹介します。

 

モザイクって何?

 

その名前の謂れも起源もわからないほど、古くから世界中のあちこちで作られてきた芸術です。3000年前のシュメール文明の遺跡からも出土されています。

さまざまな色や素材の異なる小片を組み合わせて、模様を形作る芸術モザイク。主に小石、ガラス、陶片などが用いられましたが、時にはラピスラズリのような高価な宝石や金などが使われる場合もあります。

主に床に美しいデザインを描いたことで有名です。時代が新しくなるにつれ1つずつの小片が小さくなっていき、遠目からモザイクであることがわからないくらい細かい細工がされています。

 

古代ローマ時代を彩る皇帝のモザイク芸術

紀元前3世紀頃、古代ギリシアが古代ローマへ滅ぼされると、古代ギリシア人がローマへモザイクの技術を運んできたと言われます。

古代ローマ帝国では、強大な権力のもとに造られた数々の建造物が、美しい豪華なモザイクでおおわれ、独自の発展をしていきました。古代には小石などで作られていたモザイクも、大理石やガラスなどの小さな破片を貼り付けるようになります。

土木技術が盛んであったローマ人らしく、テルマエロマエなどの床に残っているモザイクは、道路工事のように何層にも固く覆われた地面の上に造られています。まず地面をしっかりと固くならした上に、石や小石を混ぜたもので覆い、その上に小石や煉瓦の破片を混ぜたものをのせ、さらに大理石の粉や石灰などの細かい混ぜ物を載せて、ようやくモザイクを形作ったのです。

古代ローマ時代の床モザイクが、2000年近い年月を経ても残っているのは、土台作りが基本だったからこそなのです。

また、この時代に、現在のイギリスからシリア、北アフリカまで、広く帝国内にモザイクの技術が行き渡りました。

 

古代ローマ時代のモザイクを見るには?

特に古代ローマ帝国時代には、皇帝権力によって豪華なモザイクがローマではたくさんの美しいモザイクが古代ローマ時代の遺跡から出土されています。この時代に悪名高き皇帝ネロによって作られた宮殿は、美しいモザイクがふんだんに使われ、黄金色に輝いていたため黄金宮殿(DOMUS AURA、ドムス・アウレア)と呼ばれていたそうです。

当時のモザイクを一堂に見るためにおすすめなのが、テルミニ駅近くのローマ国立博物館マッシモ宮です。まず、展示室に行く前のチケット売り場の壁に、大きなモザイクが飾られています。館内2階には、数えきれないくらいの多くのモザイクが、絵画のように展示されています。

幾何学模様、人物画、鳥や魚、フルーツなど。じっくり見ていると、当時の暮らし、食生活が想像できて楽しいモザイクがたくさんあります。

ローマ国立博物館マッシモ宮

住所:LARGO DI VILLA PERETTI 1

開館時間:9時~19時45分

入場料金:大人7EURO,

 

また、ボルゲーゼ美術館ヴァチカン美術館にも、多くの古代ローマ時代のモザイクが芸術的に建物の装飾の一部として展示されています。

 

モザイクで描かれた神々しく輝くイエスや聖母マリア

古代ローマが崩壊したあとのローマは、キリスト教会を中心に再生を始め、当時ラヴェンナに総督を置いていた東ローマ帝国の支配下に入ります。衰退した古代ローマ帝国の文化に代わって、当時最先端の技術を誇っていたラヴェンナのモザイク文化に影響されたために、今でも5世紀、6世紀ころの古いモザイクもローマには多く残っています。

教会のモザイクのスタイルは、東ローマ帝国の当時の首都であったビザンチンにちなんで、ビザンチン美術と呼ばれます。金色を多く使っているので、色彩は輝いているのに対して、写実的な要素が乏しく様式化された動きのない宗教画であるのが特徴です。ギリシア正教を信仰していた東ローマ帝国では、偶像崇拝が禁止されていたのが理由です。

古い教会のモザイクで見逃せないのは、サンタ・プラッセーデ聖堂(BASILICA DI SATA PRASSEDE、バジリカ・ディ・サンタ・プラッセーデ)のサン・ゼノ礼拝堂(SACELLO DI SAN ZENONE、サチェッロ・ディ・サン・ゼノーネ)です。

教会の側面が入り口になっていて、一見すると教会だとわかりにくいので、ご注意ください。入ってすぐ右手が主祭壇です。ここの後陣にも見事な9世紀のモザイクが飾られていますが、主祭壇に向かって右手にある小さなサン・ゼノ礼拝堂は、モザイクで黄金に輝いています。ここは、コインを入れるとイルミネーションできるようになっているので、コインを忘れずに、ぜひ荘厳に輝くモザイクを堪能してください。

サンタ・プラッセーデ教会

住所:VIA DI SANTA PRASSEDE 9a

開館時間:7時~12時30分、16時~18時30分

 

近くにあるサンタ・マリア・マジョーレ大聖堂の身廊にある5世紀のモザイクも必見です。

 

ローマの教会の床を彩るゴズマーティ様式の幾何学模様

12世紀から13世紀にかけて、ローマではコズマという一族が行った独特の大理石のモザイク装飾が大流行しました。この一族の名にちなんでコズマーティ様式と呼ばれますが、もともとはビザンチン様式であると言われます。

数々の色大理石を組み合わせて形作られた幾何学的な文様が特徴的で、中世の教会堂の床を飾っています。床細工のほかにも、回廊や、司教座など宗教行事で使われる数々の装飾にも使われています。

 

ローマの古い教会であるサンティ・クアットロ・コロナ―ティ聖堂、真実の口で有名なサンタ・マリア・コスメディアン教会、4大聖堂であるサン・ジョヴァンニ・ラテラーリ大聖堂サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂などで、見事なコズマーティ様式が楽しめます。1つずつ違う精巧な細工をお見逃しなく。

サンティ・クアットロ・コロナ―ティ大聖堂

住所:VIA DEI SANTI QUATTRO、20

開館時間:10時~11時45分、16時~17時45分(日曜朝休み)

 

サン・ピエトロ大聖堂のモザイク工房

ローマのモザイクの伝統が最も息づいているのが、実はヴァチカンにあるサン・ピエトロ大聖堂です。広大な大聖堂を飾っているほとんどの絵画や装飾部分はモザイクでできています。

たとえば、主祭壇の左側にある有名なラファエロの最後の作品「キリストの変容」。本物はヴァチカン美術館の絵画館に展示されていて、ここに飾られているのも、モザイクで作られたコピーなのです。

16世紀の末、ヴァチカンではフレスコ画などに比べて湿度などの温度変化に強い、保存に適したモザイクを使用することに決め、18世紀にはモザイク工房まで創設し、絵画作品の保存に努めています。

特に最新技術によって作られたミクロな世界の小片を使っているモザイクは、近くで見てもわからいほどの精巧さです。ローマ観光の目玉、サンピエトロ大聖堂では、ぜひ、じっくりモザイクを見てください。

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