ローマの4大聖堂を訪ねてみよう!

ローマ

ローマには、キリスト教カトリックの総本山、ヴァチカン市国があります。もともとは、1870年にサヴォイア家がイタリア統一するまでは、ローマはローマ教皇領の中心として歴史的に重要な役割を果たしてきました。

現在でも、ローマ市内には歴史的価値のある教会が、少なくとも200はあると言われていますから、全てを見て回るのは大変です。ここでは、特にキリスト教徒にとって重要な意味を持つ、ローマの4大聖堂(BASILICHE PAPALI DI ROMA、バジリケ・パパーリ・ディ・ローマ)についてご案内いたします。

 

4大聖堂の聖なる扉と聖遺物

 

ローマの4大聖堂は、ローマ法王の聖堂ともいわれ、キリスト教会の最高峰に位置する6大聖堂のうちの4大聖堂です。(残り2つは、ウンブリア地方のアッシジにあります。)

サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂サン・ピエトロ・イン・ヴァチカーノ大聖堂サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂が、この4大聖堂で、サン・ピエトロ大聖堂を除く3つの大聖堂は、ローマ市内に点在していますが、ヴァチカン市国の領土になり、治外法権があります。ヴァチカン市国の郵便局が入っているので、絵葉書を出すのにも便利です。

4大聖堂は、法王専用の祭壇があり、キリスト教会に大切な聖体の秘跡の儀式を行えるのは、ローマ法王、もしくは特別の権限を得た聖職者のみ、という特別な教会なのです。

4大聖堂の観光のポイントは?

 

趣向を凝らした法王専用の主祭壇もさることながら、見逃せないのが、「聖なる扉」(PORTA SANTA、ポルタ・サンタ)です。25年に一度行われる「聖年」(GIUBILEO、ジュビレオ)の際に、ローマ法王自らによる儀式によって開けられる特別なもので、4大聖堂ならではのものです。聖なる扉は、聖年の期間中にすべて巡礼すれば、犯した罪が赦される、という重要な役割を持っています。そのため、聖年には、世界中から多くの信者が、この4大聖堂を回るためにローマへ訪れるのです。

通常、歴史のある教会は、聖遺物(RELIQUIA、レリークイア)という、キリスト教ゆかりの聖人などの遺品を所有しています。珍しい聖遺物があると、それを拝むために巡礼者が増え、お布施の量も増えるので、中世を通じて、各教会は聖遺物の収集に励んだ時期がありました。キリストが磔刑にかけられた時の十字架の木や、12使徒の頭、心臓など、信者ではないと恐ろしく感じたり、少し首を傾げたりするような様々な聖遺物が存在するのですが、特に、4大聖堂はキリスト教の重要な教会だけあって、お宝が満載です。お見逃しなく。

また、4大聖堂のみならず、歴史のある古い教会は、床にコズマーティ様式という色鮮やかな美しいモザイクが見られます。教会の一番奥、主祭壇の後ろ側の半円形の部分には、キリストゆかりの絵画が、モザイクによって描かれているのが特徴的です。当時、文字のわからない信者たちにも、絵でキリストのストーリーを説明したものなので、じっくり鑑賞してみるといいでしょう。

 

教会を見学するためのルール

 

基本的にキリスト教の教会は、「神さまの家」で、すべての「迷える子羊」に開かれた家なのです。観光の場ではなく、信じる人のための祈りの場なので、4大聖堂と言っても入場料はありません。小さな教会だと、入り口にジプシーの女性が座っていて、お金を要求しますが、義務ではありません。キリスト教徒は慈悲の心で、小銭を渡す人も結構います。

教会は祈りの場なので、ノースリーブ、半ズボン、ミニスカートという肌を出した服装は、ふさわしくないとされています。このような服装では、4大聖堂だけではなく、一般の教会へも入場できないので、大判のスカーフなどを用意して、肌を覆うなどの工夫をしましょう。

また、最近では、テロが多発している関係で、特に4大聖堂では入場前の持ち物検査が行われています。なるべくスムーズに入場できるように、大きなリュックサックなどは持っていかないようにしましょう。

教会は、通常、お昼休みを取ります。また、午前と午後にはミサをやっていることがよくあります。日曜日もミサがあったり、結婚式が執り行われていることがあります。もし、宗教行事が行われている場合は、なるべく邪魔をしないように心掛けましょう。

 

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(BASILICA PAPALE SANTA MARIA MAGGIORE

バジリカ・パパーレ・サンタ・マリア・マッジョーレ)

 

テルミニ駅から300メートルのところに位置しているので、もっとも行きやすい大聖堂です。この大聖堂は、初の聖母マリアに捧げられた教会で、エフェソスの公会議により聖母マリア信仰が公認されたことを記念して、432年に創建されました。ところが、358年の真夏、数日以内に雪が降った場所に教会をたてるように、という聖母マリアのお告げ通り、雪が奇跡的に降った場所に建てられた、という言い伝えが根強く残っていて、今でも8月5日のミサでは、真夏の雪が再現されています。

この教会は、世界中の聖母マリアに捧げる教会の中でも最高位に位置するだけあり、最も貴重な聖遺物も、イエスキリストが誕生の際に使ったかいば桶の木片です。フェルディナンド・フーガ作の優美な主祭壇の下に、金銀細工とクリスタルで作られた容器の中に収められています。

長い歴史を誇る大聖堂は、何度も改修を重ねていますが、初期キリスト教のバジリカ様式をよく残しています。豪華な装飾が施された内部は、36本の大理石の柱で仕切られていて荘厳な雰囲気があふれています。しかも、この壮大な大聖堂中央天井は、コロンブス一行が、初めてアメリカ大陸から持ち帰った金が使用されています。当時のローマ法王がスペイン、ボルジア家のアッレサンドロ6世だったので、スペインのイザベラ女王から、贈り物として授けらました。

大聖堂の一番奥にある後陣(ABSIDE、アブシデ)には、13世紀の見事なモザイクで、「聖母マリアの戴冠」(INCORONAZIONE DI MARIA、インコロナツィオーネ・ディ・マリア)という、キリストが聖母マリアの頭上に冠を掲げる重要な宗教画のテーマが描かれています。優美な色彩に満ち溢れたローマ・モザイクの代表作のひとつです。内部には、数々の由緒あるモザイクが飾られていて、美しい輝きで満ちています。

また、ローマのバロック時代を築いた巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(GIAN LORENZO BERNINI)の墓があります。彼の作品とは異なり、質素なデザインの墓石に名前が刻まれています。

 

このほかの見所

・サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂美術館

2001年にジョヴァンニ・パオロ2世によって創設された、大聖堂付属の美術館。西のベツレヘムとまで言われるほどの大聖堂所蔵の美術品を公開

開館時間:9時~18時30分

料金:3EURO

・大聖堂の地下遺跡(SOTTERANEI DI BASILICA)

大聖堂の地下6メートルには、初代ローマ帝国皇帝アウグストの時代の遺跡があり、見学が可能です。

予約要:Tel/fax: 0669886802 – e-mail: museo.smm@basilica.va

料金:5EURO

・教会正面の広場の聖母マリアの像。

この像を支える14,3メートルもあるコリント様式の大理石の柱は、フォロ・ロマーノのマクセンティウスのバジリカにあったもので、17世紀に時の法王パオロ5世によって、この場所に運ばれました。

・オベリスク

教会の後ろ側、カブール通りに面した広場には、14.8メートルの小さなオベリスクが建っています。このオベリスクは、エジプト製ではなく、古代ローマ時代に作られた複製ですが、それでも、約2000年前のものです。時間の悠久さを感じさせられます。

 

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂

住所:PIAZZA DI SANTA MARIA MAGGIORE

開館時間:7時~18時45分

http://www.vatican.va/various/basiliche/sm_maggiore/index_it.html

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