海のロマンを感じる海洋博物館

オランダ

私たち日本人にとってはあまり縁のない「海洋史」という言葉は、オランダの歴史上に欠かせない重要なファクターです。というのも、オランダは17世紀の黄金時代の富を築いたという歴史を持つ、世界でも一二を争う海洋国家だからです。海を渡って貿易や技術交換をし、栄えていったオランダの国の歴史は、港、しいては海なくしては考えられないものでした。そんな歴史に触れることができるのが、アムステルダムの海洋博物館(Het Scheepvaartmuseumです。

 

貿易船と並び建つミュージアム

 

国立海洋博物館は、アムステルダム中央駅から徒歩15分の場所に建っています。実は、駅前広場からでも南東の方角を気をつけて眺めれば、この博物館の建物が見えます。17世紀の凛々しく整った印象の建築の脇に、大きな貿易船が横づけされているところが特徴的ですね。

この博物館はもともと1673年にオランダ王立海軍の倉庫として建てられたもので、「Arsenal」と呼ばれています。オランダ黄金時代のさなか、世界でも有数の巨大な港だったアムステルダムの姿を想像させるような、倉庫にしては立派すぎるくらいの美しい外観をしています。

1973年に国立博物館としてオープンしてからは、建物自体や博物館のコレクションに最新技術をちりばめたインタラクティブな展示が楽しめるカルチャースポットとして、観光客や市民に広く親しまれています。古くから国際的な港としての歴史を誇るアムステルダムならではの博物館です。

建物の入口は南側にあります。入館すると、広くて明るい中庭のような広場に出ます。見上げると、天井はガラス張りになっていて、太陽が出ると、明るい陽射しが差し込んできました。

中庭の左手には、チケットカウンターがあります。料金は、18歳以上の大人が15ユーロ、17歳以下の子どもや学生が半額の7.5ユーロです。スタッフから紙のリストバンドのような形をしたチケットをもらって、手首に巻き付けましょう。広場の中央付近にあるオーディオガイドの棚から無料の音声ガイド専用の機械を受け取って、その場で言語設定をするのもお忘れなく。

 

3方に広がる展示スペース

 

中庭の中央から周りを見渡すと、東南西北の4方向に入口があります。南側は入場口で、西側には「Stories」、東側には「Objects」とカテゴリー分けされた常設展や特別展のスペースがあり、北側には建物を通り抜けたところに埠頭があり、停泊している船を見学することができます。

東側の「Stories 」と題された博物館コレクション展には、オランダ史上の有名人や市井の人物のストーリーが、等身大のスクリーンに映し出されるビデオで再現されていて、とても見ごたえがあります。地球儀や貿易に使われた資料、模型船など、実際に展示されている品物が、実在の人物の物語とともに展示されているので、想像力が刺激されて、子どもでも飽きずに楽しめるしかけがほどこされています。フェルメールの絵画を意識した映像は美しく、鑑賞していると物語に引き込まれるような気持ちになります。また、この博物館には、地球儀と天体模型のコレクションが豊富で、見ごたえがあります。

 

1階の別室には捕鯨の歴史や鯨の体内の仕組み、捕鯨にまつわる漁の道具や資料などが集められた展示スペースも用意されていました。さらに2階には、今と昔の船員の暮らしがインタラクティブな展示で体験できるギャラリーがありました。

 

東インド会社の船を探検

 

博物館の建物の脇にある埠頭には、オランダの黄金時代を代表する貿易商社の「東インド会社」が使用していた船のレプリカが停泊しています。北側の出口から建物を出ると、右側には、「ロイヤル・バージ」というオランダ王室特注の、黄金色に輝く美しくて豪華な船が展示されているギャラリーがあります。

一方、右手には東インド会社の船への入口があります。さっそく船に上がって、船内を探検してみましょう。

 

リアルに感じる船上の暮らし

 

古びた木製の狭い階段やドアを潜り抜けると、船のデッキに到着します。運河を背景にして、船上の記念写真を撮るのにぴったりです。デッキには、ベンチとテーブルが並んでいる半屋外のスペースがあり、ここで船員たちが食事をしたり休憩をしたりしていたようすが想像できます。

階下には、船の側面から何本も突き出している大砲のための天井の低い部屋がありました。「玉を詰める」などの各手順が書かれたボタンを正しい順番で押すと、「ドカン!」と爆発音がして、大砲を撃ったような気分になれるゲームがあります。ぜひ挑戦してみてください!

さらにその下の階には、貨物や船員たちの生活に必要な食糧、燃料などを貯蔵していた倉庫スペースが広がっていました。サイズの大きな木箱がいくつも積みあがっていて、その側面には焼印が押されています。昔使われていた木箱や貯蔵品がそのまま残っているような、雰囲気のあるリアルな展示でした。

その他、船員たちが寝ていた部屋や、船長の部屋、船医のための小部屋などがあり、ほとんどの部屋に実際に入ることができました。どのスペースも本当に小さく、ただでさえ身長が高く体の大きい人種のオランダ人たちが生活していたかと思うと、信じられないほどです。実際に目にして、自分で部屋に入ってみて初めて発見できることがたくさんあり、とても刺激的な体験でした。

 

ミュージアムショップ「warehouseには、昔の海洋地図や船の設計図など、ここでしか買えない海や船のモチーフが好きな方には見逃せないようなオリジナルグッズが多数並んでいました。オランダらしいお土産を見つけるのにもぴったりです。ショップの奥には、カフェレストランがあります。清潔感のある、明るいカフェで、時間があれば休憩するのによさそうです。

オランダの海洋国家としての側面に触れられる海洋博物館、特色があって見ごたえたっぷりなので、観光におすすめです。大人も子どもも楽しめるので、ぜひ訪れてみてください。

 

インフォメーション

名称:海洋博物館(Het Scheepvaartmuseum)

住所:Kattenburgerplein1, 1018KK, Amsterdam

開館時間: 9:00~17:00

公式ウェブサイト: https://www.hetscheepvaartmuseum.nl/

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