オランダは、チューリップを始めとする切り花の産地として日本でも有名ですよね。日常生活にも切り花が溢れていて、親しい人や公式の行事でお花を贈り合う姿をよく見かけます。そのようなオランダの首都・アムステルダムには、世界的に有名な花市場が存在します。運河沿いに並ぶフラワーショップの数々は、観光で訪れる人を魅了し続けています。街中にあるのでコンパクトな市場ですが、定番の観光スポットとして世界的によく知られている場所です。
観光ツアーでは外せないスポット
アムステルダム中央駅からは、トラム1・2・5番いずれかに乗って「Koningsplein」の停留所で降りると、花市場の西側の端近くに到着します。花市場のエリアには、運河沿いに簡易式の建物がずらりと並んでいて、それぞれにチューリップの色鮮やかな写真が描かれているので見るとすぐにわかります。店舗は週末も休みなくそれぞれ9時から17時半ごろまでオープンしていますが、訪問の際は営業時間を確認してから訪れてみてください。
ボートの上の「水上花市場」
1862年に始まったこの花市場は、世界唯一の水上フラワーマーケットです。19世紀には、花を栽培する農家の人々が花の産地からアムステル川をボートで通り、アムステルダム中心地で販売するために花を運んできていたのが始まりとのこと。現在、プレハブ住宅のように見えるそれぞれの店舗は、実はボートのように水上に浮かんでいるのだそうです。とは言っても、ぐらぐら揺れたりはしないのでご安心を。季節を問わず色とりどりの生花や球根、ガーデニング関連のグッズやアムステルダム土産などが販売されていて、常に観光客でにぎわっています。
選り取り見取りの球根
露店には、チューリップはもちろん、ヒヤシンスやカラー、百合などの球根がたくさん販売されていました。マーケットらしく、大きな木箱にどっさり山のように盛られた球根を見ていると、なんだかわくわくしてきます。自分で手に取って選べるので、ガーデニング好きな方にはたまらない場所です。
球根の買い方
球根は、1個から購入できます。日本に輸入できるものなのかどうかを店舗のスタッフに確認しておけば、税関で没収されることがないので安心です。あるお店のお兄さんの話によると、アメリカやニュージーランドなどの国は別ですが、日本などの多くの国には、証明書付きで販売されているチューリップの球根をお土産として買って帰ることは可能だそうですが、購入の際にもう一度チェックしてみてくださいね。
その他、紙袋入りの詰め合わせも販売されています。平均価格は1パック10個入りで安いものは3ユーロから見つけられます。レンブラントをイメージしたチューリップの球根の詰め合わせも見かけました。
立派な花を咲かせるヒヤシンスも、さまざまなカラーリングや模様のものが球根の状態で販売されています。白だけではなく、黄色や深い紫色など、珍しい色の花の球根も販売されていました。
ちょっと変わった苗も販売
切り花や花の球根・種だけではなく、植物の苗もたくさん並んでいます。かなり大きく茂るイチゴの苗は、実際に立派なイチゴが育ちそうで魅力的です。また、マニアックな雰囲気の漂う盆栽キットも販売されていました。日本の「盆栽」という文化が海外にも浸透していることが伝わってきて、日本人としてなんだか嬉しくなりますね。実際に、アムステルダム市内のあるお家の窓際に盆栽が飾られていたのを見かけたこともあるので、意外と広く普及しているのかもしれません。
さらに、ハエを捕獲して食べてくれる食虫植物の栽培キットも見かけました。家に一つあったら便利そうですが、ちょっと不気味ですね。ちなみに、オランダでは気温の低さのせいか、あまりハエを見かけないので、需要はあまりなさそうです。
驚くのは、大麻の栽培キットまで販売されていたことです。オランダ国内では、大麻は個人的に一定量までなら合法で栽培できるそうですが、さすが一部の麻薬が合法化されているオランダの首都アムステルダム……日本では想像できないような状況にびっくりさせられます。
目を楽しませるディスプレイ
花市場を見ていて面白いのは、同じような商品が売られていたとしても、露店ごとにディスプレイに工夫が凝らされていることです。道行く人の注目をゲットするために、それぞれの店舗が、蝶々などのおもちゃを使ってディスプレイに動きを出したり、オランダらしい風車や自転車グッズを並べてみたり、目立つ色で飾ってみたり。歴史上、他の誰よりも商人が大きな力を持っていたオランダらしい商魂の逞しさを感じるのは気のせいでしょうか。
なお、この花市場は年間を通してオープンしています。特に生花で溢れる春や初夏のほか、クリスマスシーズンにはツリーやクリスマスオーナメントなども販売されるそうなので、季節によって異なる表情が楽しめます。
ショッピングにも手頃
花市場の通りに沿って、フラワーショップの他にも、オランダ名物のチーズショップやお土産物店、レストランやカフェなどが数多く並んでいます。市場のかぐわしい花の香りが漂ってきそうな立地の良い小さなショッピングストリートです。観光シーズンには、たくさんの人で混雑するので、人混みの中では特にスリには十分気を付けてください。
花市場の東側の端に、運河を挟んで建っているムント塔(Munttorren)も見どころです。17世紀にフランスがアムステルダムを占領した時に貨幣鋳造所として利用していた建物で、鐘楼を持つルネサンス式の塔で、花市場への目印にもなります。
花で世界的に有名なオランダらしい体験ができる花市場。サイズは「市場」と聞いて想像するよりも小さめですが、
アムステルダム中心街からほど近い、お花好きにおすすめの観光スポットです。
インフォメーション
名称:花市場(Bloemenmarkt)
住所:Singel 630 to 600, 1017 AZ, Amsterdam
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