ターナーも愛したリッチモンドヒルからのテムズ川の眺望 その魅力や行き方を写真付きで解説

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ロンドンの南西部にあるリッチモンド・アポン・テムズは、かつて王宮のあったテムズ川沿いの歴史ある町です。

現在でも、狭い通りの両脇に18世紀初頭の建物が並ぶチャーミングな町として人気があります。

町の中心部からリッチモンド・パークへ向かう坂を上ると、右手に展望テラスが見えてきます。

この場所からの眺望は、イギリスで一番美しいテムズ川の風景と言われています。良く晴れた日に出掛けてみませんか?

多くの芸術家や詩人に愛され続ける風景

牧草地の緑の向こうをゆったりと蛇行するテムズ川を望むこの景色は、昔から多くの芸術家や詩人などに愛されていました。

1736年にはスコットランド人の詩人ジェームズ・トムソンが「夏」というタイトルの詩でその美しさを称え、イギリス・ロマン派詩人として有名なウイリアム・ワーズワースも「1820年6月」というソネットでリッチモンドヒルの名声を書き残しています。

画家のジョシュア・レイノルズは、この風景を愛するあまり、晩年の20年間をテラスのすぐ隣にある「ウイック」(The Wick)と呼ばれる屋敷で過ごしました。

 

ターナーの描いたテラスからの眺め

イギリスにおけるロマン派風景画家の巨匠にして、後の印象派に最も影響を与えた画家のJ.M.W.ターナーも何度かこの眺めを描いており、最も有名なのが1819年ロイヤルアカデミーで公開された「イギリス:摂政皇太子の誕生日のリッチモンドヒル」です。

同じ眺めを描いた数多くのスケッチや未完成の水彩画が残されていることから、ターナーは何度もこの場所に来てスケッチを繰り返していたものと思われています。

この絵と1にある現在の写真を比べてみてください。200年近い年月を経ているのに、その風景が殆ど変わっていないことに驚きませんか?

 

市民と行政が守った景観

リッチモンドヒルからの眺望の名声は全国に広まるようになり、19世紀の中頃には環境保護の気運が盛り上がります。

リッチモンド区はこのエリアの建物や土地を買ったり、土地利用の用途を制限するなどして景観を守ってきました。

1900年にテムズに浮かぶ中島にレンガ用の粘土採取場が設置される計画が持ち上がった際は、リッチモンドヒルに住んでいた富豪が購入してリッチモンド区に寄贈し、その翌年、テムズ川の対岸にあるマーブルヒルハウスが開発業者に売られそうになると、公私にわたって集められた資金により土地と館を購入し、ロンドン市に寄贈されました。

この眺望は、その美しさに魅せられた人々の情熱によって守られて来たのですね。

 

イギリスの国会条例で保護されている唯一の風景

1902年に「リッチモンド、ハムおよびピーターシャムオープンスペース条例」が国会を通過し、この景観はイギリスで唯一、国会条例によって保護されるようになりました。

ロンドンでも指折りの人気エリアのリッチモンドですから、この条例がなかったら家やマンションがびっしりと立ち並んでいたことでしょう。

一度失ってしまった風景は二度と戻りません。この景色を見ていると、古き良きものを大切にするイギリス人気質を見せつけられる気持ちになります。

現在のピーターシャムの牧草地には牛が放牧されていて、のんびりと草を食む牧歌的な風景は、ここがロンドンだとはとても思えませんよね。

 

ビール片手にリッチモンドテラスからの眺望を楽しむ

良く晴れた暖かい日にリッチモンドテラスを訪れると、人々がパイントグラスを片手に談笑したり風景に見入っている姿を見かけます。

皆さん、道向かいのパブ「ローバック」(Roebuck)でビールを買って来るのですね。

ローバックはおよそ1500年位からこの場所にあるそうで、イギリスで最も古いパブの一つでもあります。現在の建物は1741年のものです。

リッチモンドに住む有名人に愛されるこのパブは、ミック・ジャガーやジェリー・ホール、ピート・タウンゼントらが夜な夜な集まった事でも有名です。

1951年に天井裏から1700年代の追いはぎが隠した財宝が発見されたり、1972年には、ここに宿泊していた警官が幽霊を見たりと、何かといわくつきのパブなのです。

 

大晦日のリッチモンドテラスは大賑わい

大晦日の深夜、リッチモンドテラスは普段にも増して賑わいます。

シャンペンを片手に集まった人々が、スコットランドの民族衣装姿の若者のバグパイプに耳を傾けつつ年明けを待ちます。新年を迎えると見知らぬ人々が「ハッピー・ニューイヤー」の挨拶を交わし、遠くで打ち上げられる花火を見物するのです。

ロンドンの花火を見物したい場合は、リッチモンドパークの歩行者用ゲートから中に入り(車道のゲートは日没に閉まりますが、歩行者用のゲートは常に開いています)、直進して坂を少し下ったソウヤーズヒル(Sawyers Hill)へどうぞ。公園内は外灯がなく真っ暗ですが、見物客が集まっていますので迷う心配はありません。

 

貴族の館の庭を保存したテラスガーデンズ

リッチモンドテラスの横は「テラスガーデンズ」(Terrace Gardens)というリッチモンド区が所轄の公園となっています。

ここはランズダウンハウス(Landsdowne House)とカーデイガンハウス(Cardigan House)という18世紀の貴族の館とその庭があった場所です。

館は既に取り壊されてしまいましたが、古木となった庭の木々や、堂々とした川の神の彫像が当時の姿を忍ばせてくれます。

急な坂を上るとテムズ川が眼下に見え、四季を問わず人々を楽しませてくれる公園です。

 

テラス・ガーデンズ中腹にあるカフェで一休み

テラス・ガーデンズの中腹にある「ホーリイホック・カフェ」(Hollyhock Café)は自治体が運営する公園内のカフェと侮る事なかれ、フェアトレードの美味しいコーヒーとオーガニックにこだわったヘルシーなメニューで地元民に大人気のカフェなのです。

リッチモンドの他のお店と比べて、お値段がお手頃なのも嬉しいです。ナチュラルで可愛らしい店内も素敵ですが、ここではやはり、テムズ川を見渡せる屋外席に座るのをお勧めします。寒い時期には湯たんぽと毛布を貸し出してくれますよ。

リッチモンド橋の下にあるカフェ「タイド・テーブルズ」(Tide Tables)の姉妹店でもあります。

 

リッチモンドテラスへの行き方

リッチモンド中心部からテラスへの一番近い道は、リッチモンド橋付近にある映画館(Odeon Cinema)を過ぎてからリッチモンドヒル(Richmond Hill)という名前の道路を上ります。しばらくすると右手にテラス・ガーデンズが見えます。

この公園の隣がリッチモンドテラスで、映画館から徒歩約10分で到着します。

ゆっくり散歩も楽しみながら行くには、テムズ川沿いの遊歩道を上流に向かって歩き、バックル―ガーデンズ(Buccleuch Gardens)に入ります。

ここから地下通路を通って道向かいのテラス・ガーデンズに入り、坂を上りきったらテラスは右手にあります。また、公園の隣のくテラス・フィールドの白い手すりのある階段を上る方法もあります。

 

おわりに

イギリス人に愛され、今日まで守られてきたリッチモンドテラスからの絶景。ターナーの時代から変わらぬその眺めを、お天気の良い日にぜひ見物にお出掛けください。

リッチモンド駅には地下鉄とオーバーグラウンド、ナショナルレイルが乗り入れていますから、ロンドン市内のどこからでも気軽に訪れることができます。

リッチモンドの町を探検し、テムズ川沿いをそぞろ歩き、リッチモンドパークに足を延ばしたり、或いは人気のピーターシャム・ナーサリーを覗いたりと、観光気分の休日をたっぷり楽しんでください。

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