みなさんはジークムント・フロイトという人をご存知ですか?医学や心理学を学んだ人なら必ず聞いたことのある名前ではないでしょうか。フロイトはオーストリア出身で、精神医学者、精神分析者また精神科医として活躍した人です。ウィーンの9区には、そのフロイトが診療所として使っていた家が、現在でもミュージアムとして残っています。今回は、ジークムント・フロイト博物館をご紹介します。
ジークムント・フロイトってどんな人?
ジークムント・フロイトは1858年にオーストリア(現在ではチェコになっています)でユダヤ人の家庭に産まれました。
フロイトが3歳の時に、フロイト一家はウィーンへ引っ越してきました。
ウィーン大学卒業後精神科医となったフロイトは、多くの研究を行い、精神分析学の創始者と言われるようになりました。
フロイトは「無意識」の概念を発見したことでも有名で、「人の考えや行動のほとんどは自分の意識で行っていると思いがちだが、意識というのは氷山の一角である」と考えました。
また、夢や自己分析を行ったことでも知られています。
1938年ユダヤ系出身のフロイトは、ドイツに併合されたオーストリアから退去せざるを得なくなり、イギリスに亡命し、そこで亡くなっています。
ウィーンのジークムント・フロイト博物館
ウィーンにあるジークムント・フロイト博物館(Siegmund Freud Museum)にフロイトは1891年から1938年まで住んでいました。またフロイトは、この建物を診療所としても使用していました。
47年間過ごしたこの場所で、フロイトは多くの著書を執筆しました。
ジークムント・フロイト博物館では、かつての診療所の様子と、住居の一部を見ることができます。
ジークムント・フロイト博物館に行ってみた
フロイト博物館への交通手段ですが、一番近い駅は市電DのSchlickgasse(シリックガッセ)です。この駅からは、ほぼ歩くことなく博物館へ行くことができます。
でも、土地勘のない人には、ちょっと市電って使いづらいですよね。そんな時は、少し歩くことになりますが地下鉄4号線のRoßauer Lände(ロサウアーレンデ)駅、または地下鉄2号線のSchottentor(ショッテントーア)駅からアクセスすることも可能です。
ジークムント・フロイト博物館の外観はこんな感じです。
建物の壁に赤と白の旗が下がっています。また赤い看板で大きく「FREUD(フロイト)」と書いてあるので、すぐに見つけられると思います。
建物の入口はごく普通の扉です。扉のわきにある呼び鈴を押すと、扉の中に入ることができます。
エントランスホール右手にある階段を上って1階(日本では2階)に、ジークムント・フロイト博物館はあります。
正直、フロイトに興味を持っている人なんてそう多くないだろうし、博物館はガラガラだろうな、と高をくくっていたのですが、筆者の予想に反してたくさんの人たちが訪れていました。
筆者が訪れたのが観光ハイシーズンの夏季だったということもあるかもしれませんが、なんと入場制限までされているほどの人気ぶりでした。
待っている人たちは、階段の壁に書かれた博物館の歴史などを見ながら思い思いに過ごしています。
玄関のドアの横にある呼び鈴には、今もまだ「Prof. Dr. Freud(プロフ・ドクター・フロイト)」の文字が!
しばらくすると、中から係の男性が現れ、
「2名様、どうぞ」
と中に入れてくれました。
入ってすぐの場所がチケットセンターになっているので、そこでチケットを購入します。
入場料金は
大人 12ユーロ
シニア 11ユーロ
学生(18歳から26歳) 8,5ユーロ
生徒(12歳から17歳) 4ユーロ
です。
入場料金にオーディオガイドは含まれていますが、残念ながら日本語はありません。(英語はあり)
オーディオガイドの英語に集中するのは疲れるから嫌!という方には、展示品の説明が書かれている冊子をチケット売り場で借りることができます。この冊子も残念ながら日本語版はありません(英語版はあり)。英語は聞くよりは、読む方が楽、という方はこちらの本が便利です。
チケット売り場の隣の部屋には、お土産屋さんがあります。ここではマニアックなフロイトグッズが購入できるので、フロイトファンは必見です。
そのショップを通り抜けると、そこはかつての診療所の玄関になっています。
そこには当時のコートかけが残されています。また、診療所時代の玄関の写真、診療時間などを記した看板なども展示されており、フロイトのファンの方はフロイトを身近に感じて感動すること間違いなしでしょう。
玄関の右の扉をくぐると、そこはかつての診療所の待合室となっています。
そこには古いオーブンや棚、座り心地の良さそうなソファやたくさんの絵画や写真などが展示されています。
待合室を抜けた先は、フロイトが実際に診療を行っていた診療室です。
フロイトのことを知っている人ならば、フロイトの診療室と言えば必ず寝椅子を連想すると思います。
フロイトが数々の患者たちの診療を行ってきたカウチ(寝椅子)は、「世界で一番有名なカウチ」とまで呼ばれているんです。
フロイトはゆったりとしたその寝椅子に患者を寝かせ、患者をリラックスさせ、患者の心の中に浮かんできた自由なイメージや感情を語らせて治療を行ったのです。
でも、そのカウチは残念ながらウィーンのフロイト博物館にはありません!
なぜなら、フロイトがイギリスに亡命する際に、重要なものは全て持って行ってしまったからなのです。
フロイトのカウチは、ロンドンにあるフロイト博物館で見ることができます。
一応部屋の真ん中には、気休めのようにカウチのミニチュアのモデルが展示してあるのですが、本物のカウチが実際診療が行われた見られないのは、フロイトファンにとってはとても残念なことだと思います。
診療室の壁は、写真や資料で埋め尽くされていて、とても興味深い内容になっています。
診療室の奥には、仕事部屋があり、こちらの部屋の壁にも、たくさんの資料や写真が貼られています。
診療所の玄関を左に抜けると、そちらではフロイトの住居の一部が公開されています。
大きなホールでは、フロイトの家族についても知ることができます。
フロイトを身近に感じることができるジークムント・フロイト博物館。興味がある方は是非訪れてみてくださいね。
Siegmund Freud Museum
住所: Berggasse 19, 1090 Wien
電話: +43 1 3191596
開館時間: 毎日10:00から18:00
アクセス: Schlickgasseから徒歩1分
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