マドリッドの蚤の市といえば、ラストロが有名です。
中心となるカスコーロ広場一帯は、日曜日や祝日の朝10時過ぎから午後3時頃まで人であふれかえります。使い古された靴や欠けたコップなど、誰が買うんだろうと思う商品も時々見られますが、掘り出し物が発見できることも。
眺めるだけでも楽しいラストロをご紹介します。
ラストロの名前の由来は?
この一帯は元々畜殺場があり、名前も畜殺場に関係しているようです。
一説には、畜殺場から川まで流れた血の跡を意味する「ラストロ」から来ているとか。この地域では、畜殺された動物の皮のなめしも行われていたようで、 なめし皮のお店は今も何軒か残っています。
いつからこの地域で市が開かれるようになったかは定かではありませんが、少なくとも1760年頃には市が定着していたという記述が残っているので、もう250年の歴史があるということですね。
一見規則もないように見える蚤の市ではありますが、ジャンルがある程度決まっている通りもあるので、大体の場所を把握すれば、見やすいかもしれません。
ラストロはどこにある?
ラストロは、メトロのラ・ラティーナ駅、プエルタ・デ・トレド駅、エンバハドーレス駅の間、通りでいえば、大体トレド通り、ロンダ・デ・トレド通り、エンバハドーレス通りの間に露店が並びます。
坂が多いマドリッドの中でも、この地域は特に坂ばかり。ラ・ラティーナ駅は坂の上、エンバハドーレス駅とプエルタ・デ・トレド駅は坂の下にあるので、ラ・ラティーナ駅から歩き始めると良いでしょう。それでも、ラストロを見ていると、坂を上ったり下ったり歩き疲れるので、歩きやすい靴で行くようお勧めします。
トレド通りとリベラ・デ・クルティドーレス通りの間には、アンティークのお店や露店がたくさん並び、歩いて見るだけで楽しいもの。こちらでは、中でも特徴のある通りをご紹介します。
リベラ・デ・クルティドーレス通り(Ribera de Curtidores)
時間がなかったら、上から下までこの通りを歩くだけで蚤の市が楽しめます。
特にカスコーロ広場の辺りには、独創的な洋服やアクセサリー、工芸品などが並んでいます。
昼の12時頃からは混み合ってなかなか前に進めないこともあるので、自分のペースで歩きたいのならば、11時頃からがおすすめ。人が増えるとスリも増えるので、手荷物にはくれぐれも気をつけて!
この通りは、アンティークのお店の他、アウトドアのお店やペットショップも多いのが特徴。通り沿いのお店はラストロの日は休日でも開店します。
ヘネラル・バラ・デル・レイ広場 (Plaza de General Vara del Rey)
カスコーロ広場から右斜め横の道を入った広場
並ぶのは、アンティークの食器類、農具、ラジオ、おもちゃの他、新品と思われる靴、帽子、フラメンコ衣装、下着などがそれぞれ無造作に詰まれています。時には露店の陰で水着を試着するご婦人がいたり、他では見かけない光景が見られる広場です。
ジプシーの露店が多くを占めているのか、店番の勢いがいいのもこの広場の特徴。値切る姿も良く見られます。
サン・カジェターノ通り (Calle de San Cayetano)
リベラ・デ・クルティドーレス通りから左へ行った坂道。絵画が並べられることで有名とか。今回初めて通りに入ってみると、思った以上に絵画を並べるお店は少なく、額縁の方が目立っていました。それもマドリッドの風景を描いた小さなサイズの絵画が多かったので、お土産には良いかもしれません。
ラストロとは関係ありませんが、こちらの通りが一番華やぐのは8月のサン・カジェターノ祭り。通りいっぱいに華やかなマントン(刺繍入りのショール)が飾られ、お祭り当日には歩けなくなるほどの人で賑わいます。
フライ・セフェリーノ・ゴンサレス通り (Calle Fray Ceferino González)
こちらは小鳥の通り。ペット用の鳥が売られています。
以前は露店でも売られていたようですが、最近は禁止されたとのことで、露店で売るのは鳥かごだけ。店を構えた鳥専門のペットショップが数軒並んでいて、中に入ると壮観。上から下までびっしり鳥かごで埋められています。
余談ではありますが、ある日、この通りに住む友人がお店から逃げ出した小鳥を保護。今では、家で仲良く一緒に住んでいるようです。
カンピージョ・デル・ムンド・ヌエボ広場(Campillo del Mundo Nuevo)
リベラ・デ・クルティドーレス通りとプエルタ・デ・トレド駅との中間点。ロンダ・デ・トレド(Ronda de Toledo)沿い。
アンティーク、古本、古雑誌などが目立ちますが、鉢植えなども売っています。こちらは火曜日と土曜日の午前中も市が開かれています。
この広場からラ・ラティーナ駅方面に延びるカルロス・アルニチェス通り、ミラ・エル・リオ・バハ通り、アルガンスエラ通りにもアンティークのお店が何軒も並んでいます。
ラストロならではのお買い物
アンティークの家具や小鳥など、見るのは楽しくても、自分で買えるものもないとテンションが上がらない!と思う方も大丈夫
手軽なお土産から、気の利いたプレゼントまで見つけられるかもしれません。
手作りのアクセサリーや工芸品
アクセサリーのお店は、リベラ・デ・クルティドーレス通りの上から下まで露店が何軒もあって、手作りアクセサリーのお店も何軒かあります。
すぐ壊れそうな銀細工も、実は丈夫。私はピアスを長く使っていますが、外れたり壊れたことはまだありません。はめ込まれた天然石を落とした時は、無料で違う石をはめ込んでくれたこともありました。
指輪も、アンティークのフォークや時計の部品をアレンジした指輪もあり、他にはないアクセサリーが発見できます。値段はそれほど高くないので、一見の価値ありです。
洋服
冬には、リベラ・デ・クルティドーレス通りの中ほどに中古の皮コートが並びますが、洋服は新品が多いようです。
お土産になりそうなTシャツ、サッカーチームのシャツやマフラーの他、個性的なズボンやスカート、ジャケットなど、リベラ・デ・クルティドーレス通りの上から中ほどまで幅広い場所で売られています。
更に、リベラ・デ・クルティドーレス通りと交差するカルネロ通りにもいくつか洋服のお店があり、その一軒には、スペイン軍の払い下げ品も置いてあります。
革製品
古くはなめし皮の工房があったというだけあり、今でもなめし皮を売るお店がいくつかあります。ブーツや靴の他、乗馬用品も売られていたり、革製品が軒先に並べられた様子は、スペインらしい光景かもしれません。
露店では、ベルトやかばんを売るお店も目立ちます。 ざっくりとシンプルなデザインのものが多いようです。
日用品
コンセントのテーブルタップ、工具、刃物などからフライパンなどのキッチン用品まで、意外と頼りになるのが日用品の露店です。
普通のお店で見つからなかったものもここでは発見できたり、その品揃えには驚かされます。
そして、今回発見したのがゴム専門の露店!リベラ・デ・クルティドーレス通りとヘネラル・バラ・デル・レイ広場の間にあります。ゴムひもや紙のように平たいゴムまで、色も大きさも多種多様なゴムに出会えます。
ゴムは必要ないという方には、色鮮やかな絵皿や器の露店もあります。比較的大きな露店が、リベラ・デ・クルティドーレス通り沿い、ロンダ・デ・トレド手前にあります。
アンティークを眺めたければ
アンティークは、スペイン人の昔からの生活も垣間見えて、見ているだけで楽しいものです。
アンティークを眺めて歩きたければ、数箇所、お店が集まっている場所もあります。
リベラ・デ・クルティドーレス通り12番地の「ヌエバス・ガレリアス(Nuevas Galerias)」や、29番地にある「ガレリアス・ピケル(Galerias Piquer)」に集まるアンティークショップは、比較的開放的で観光客も多いので、眺めるのにぴったりかもしれません。
最後はタパスで締めくくり
ラストロが終わった後は、近くのバルでビールを1杯
これをしなくては、ラストロを制覇したとは言えません。
ラストロ周辺のラ・ラティーナやラバピエス地区は、タパスをつまみながらビールやベルモット酒を飲む人であふれています。
中でもカスコーロ広場にあるカサ・アマデオはラストロ名物のバル。チョリソやハム、パプリカで味付けされて、少しピリ辛いマドリッド風カタツムリを食べる人で賑わいます。日曜日はいつもいっぱいなので入れないことも多いですが、入れなくても大丈夫!周りにもバルは色々あります。
ラストロの戦利品を眺めながら、日曜日の午後、タパスを楽しんでください!
カサ・アマデオ(Casa Amadeo):
Plaza de Cascorro, 18, 28005 Madrid
ラストロ最寄り駅:ラ・ラティーナ、ティルソ・デ・モリーナ、プエルタ・デ・トレド
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