知られざる公爵夫人の庭園!?マドリッドのエル・カプリチョ公園




マドリッドの公園と言えば、元王家の狩猟地カサ・デ・カンポや中心街にあるレティーロ公園が有名ですが、今回は エル・カプリチョ公園(Parque el Capricho)に行ってきました。この公園は、知名度が低い反面、行ったことのある人には「絶対行くべき!」とか「マドリッドで一番美しい公園」と言われる場所です。

 

始まりは公爵夫人のぜいを尽くした庭園

 

造園されたのは18世紀。ゴヤのパトロンでもあったオスナ公爵夫人が、著名な芸術家、園芸家、庭園技師を呼んで、道楽を尽くした庭園を造らせたのが始まりです。中には、ベルサイユ宮殿の庭園造りに携わった庭園技師もいたと言われます。

15ヘクタールの公園はそれほど広くはありませんが、フランス式、イタリア式、イギリス式と、さまざまな様式で造られているとか。公園の名前「カプリチョ(Capricho)」は、「気まぐれ」とか「道楽」と言った意味がありますが、まさに公爵夫人のぜいを尽くした庭園と言えます 。

造園は1787年に始まり、完成したのは50年後!公爵夫人は、完成を見ることなく亡くなったようです。

公爵夫人の死後、後継者によって管理されましたが、スペイン内戦時は地形を利用して塹壕(ざんごう)が作られるなど、造園当初とは少し変わってしまったようです。それでも、その後修復され、公園として無料で開放されるようになりました。

公園までの道のり

中心地からは地下鉄で40分位、5番線でも北西の最終駅からひとつ手前のエル・カプリチョ駅が最寄り駅。

入園は無料ですが、開園は週末か祝日のみ。入り口は1ヶ所だけです。

行くことになったのは、連日40度近い気温を記録していた6月下旬の土曜日。午後6時頃、スペインではまだ太陽が容赦なく照りつけています。

5番線の地下鉄でアラメダ・デ・オスナ方面に乗り、中心街から延々と40分ほど揺られ、人が少なくなったと思ったところでエル・カプリチョに到着。出口は3ヶ所あるようですが、エル・カプリチョ公園と書かれた出口を出ると、公園の方向を指す標識が見えます。標識は公園の入口に立っていて、一瞬これが目的の公園かと疑いましたが、有名な公園にしては乾燥して荒れ果てています。どうやらそこは単なる通り道。公園を左に歩いて行くと、公園の出口にまたエル・カプリチョ公園の標識。途中マンションを通り越すと、道路沿いに続く塀が見えてきます。その塀沿いを更に左に歩いて数分。エル・カプリチョ公園に到着しました。

公園入り口から塹壕へ

入り口には係員がいて、地下鉄や動物園のようにレバーを押して入らなければいけません。一瞬有料かと思いましたが、入園者を数えているだけのようで、何も言われずに無事入園。

中に入ると、公園マップがあります。

まずは、 一番興味があった塹壕へ。長細い公園の反対側にあるようです。この塹壕は、スペイン内戦の共和国軍総司令部のものとか。市役所によるガイドツアーを実施しているようですが、予約サイトで確認したところ、11月まで予約がいっぱい!残念ながら外から観察するしかなさそうですが、それでもどんなものか見てみたいと思い、探し歩いて行きます。

途中は、きれいに植えられた花の真ん中の噴水で鳥が水浴びしていたり、確かにとてもきれい。立派なカメラを持った人も多いようです。でも、入り口の感じは、中心街にあるレティーロ公園のよう。これを見ただけでは、わざわざこの公園に来る必要もないかというのが感想です。

それでも、歩いていくうちに、他の公園のように枯れた部分が見られず、どこも瑞々しい緑であふれていることがわかります。日の当たるなだらかな芝生も、見事な緑です。

そして右側には月桂樹の生垣が入り組んだラビリンス(迷路)が見えます。上から見て、入ってみたいと思いましたが、暑さには勝てず、次回の楽しみに取っておくことにしました。でも、後から説明を読むと、夏は生垣が影を作って涼しくなるよう工夫されているようです。

そして、突き当たりには公爵邸が建っています。バラの枝がからまったようなアーチがありましたが、この日は屋敷の周りには花がなく少し殺風景。いずれこの屋敷はオスナ公爵夫人の博物館になるようです。この近くに塹壕があるはずと思いつつウロウロしていると、ガイドツアーらしい一団が奥に歩いて行きます。急いで私も後に続くと、屋敷の裏に塹壕がありました。

塹壕は丘の下にあるようで、入口付近でガイドツアーの人たちが説明を受けています。年輩者が多いのかと思ったら、意外と若い人たちが多いことに驚きました。

塹壕は入口とその横の穴しか見えませんが、総面積は2,000平方メートルとか。塹壕の上は丘のようにしか見えませんが、 100キロの爆弾にも耐えるという優れものです。

塹壕はこちらから予約状況がチェックできます。

http://www.reservaspatrimonio.es/2-el-bunker-del-jardin-de-el-capricho

 

公園内をぐるりと散策

 

塹壕を離れ、少し公園を散策してみることにしました。塹壕の斜め横にある丘に道が見えたので上っていきます。その辺りはすでに緑が濃く、丘を登ってもそれほど暑さを感じません。宮殿の東屋のような円形の建築物を横目で見て、奥に入っていきます。一人で行ったのですが、小道を歩いていくと茂みが多く、一人で歩いていて大丈夫か少し不安になりました。でも、歩いていくとそこかしこに人がいて、見ると女性一人でカメラを持っている人も多く、特に危ないこともなさそうです。これも、一人ひとり入園を管理しているからでしょうか。他の公園にいるような浮浪者なども見当たりません。

途中には、カモの親子が泳ぐ池などがあったり、ただ緑が広がっているばかりではありません。

6月という季節柄、アジサイの花が木々の間から光を受けて、きれいに咲いているところも何ヶ所かありました。きっと、季節によってさまざまな花が咲くのでしょう。

更に歩いていくと、説明つきの建物も見えてきます。中を見ることはできませんが、どれも共通しているのは、公園の名前の通り「気まぐれ」で作られたというもの。中には本当に人が住んでいた建物もあるようですが、少なくとも必要があって建てられた建物は少ないようです。

気になった建物はこちら 

Casino del baile (ダンスの館)

庭園は、ナポレオンの支配で一時はフランス軍に明け渡されて荒れ果てましたが、その後公爵夫人の手元に戻り、財産をつぎ込んで見事に修復させたようです。その修復時に建てたのがこのダンスの館。社交場として公爵夫人が本当に使用していたとか。ここには井戸があり、ふんだんな水が館の下に彫られたイノシシの像からあふれ出ています。イノシシは、フィレンツェの新市場にあるイノシシ同様、幸福のシンボル。

Casa de la Vieja (おばあさんの家)

おとぎ話に出てきそうな田舎風の家は、農家の家族が本当に住んでいたようです。説明によると、今は何も置かれていないようですが、以前はおばあさんと子供の人形や、木製の野菜や果物や食器が、まるで使っているように置かれていたようです。

途中、おばあさんの家に出る前、公園の縁を歩いていると、フェンス越しにテントやキャンピングカーが何台も泊っているのが見えました。こちらは公園と違って市の管理ではないようですが、キャンプ場のようです。

 

まとめ

 

塹壕から入口に戻るまで、散策道を歩いていると、いつの間にか汗がひいていることに気づきました。外は40度の暑さだというのに、高い木やこんもりした茂みのおかげで、公園の中はそれほど暑さも感じず、森林浴を感じながら散策できました。湿気が多く、夏でも緑生い茂る日本ならば不思議ではないかもしれませんが、乾燥したマドリッド市内でこれだけ緑が豊かな場所も珍しく、砂漠のオアシスに出会ったような気分になりました。出口に着く頃にはすっかり気分も一新。公園に入る前まで頭がのぼせ上がるような暑さに参っていたことさえ忘れていました。

暑さも消え、すっきりした気分で公園を後にしましたが、公園の外に出たら、もう午後も7時を回ったというのに、まだ熱風が吹いています。またすっかり暑さが戻ってしまいましたが、ちょっとした小旅行をした気分にもなりました。管理が行き届いていて、ゴミなども見かけず、隅々まできれいな公園は、歩いていても気持ち良いものでした。

詳しくは:https://www.esmadrid.com/ja/kankoujouhou/parque-del-capricho




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