生粋マドリッドの習慣が体感できる!5月15日のサン・イシドロ祭り




毎年5月15日は、マドリッド市の守護聖人サン・イシドロ・ラブラドールの日。市内の学校や会社は休みとなり、当日までの数日間は、毎日各所でコンサートやダンスなどのイベントが繰り広げられます。カトリックの国スペインでは、他にも教会にちなんだ祝日がありますが、サン・イシドロの日はマドリッドでも特別。16世紀の昔から引き継がれてきたマドリッドの習慣が見られる絶好の機会と言われます。トップクラスの闘牛士が出場する闘牛も開催され、街は華やかな雰囲気に包まれます。

 

サン・イシドロってどんな人?

後にマドリッドの守護聖人となるイシドロは11世紀の羊飼いで、1082年4月4日に生まれたという記述が残っています。イシドロには水源を見つける能力があって、後に彼が発見した水源は奇跡の泉と崇められ、後に遺体が雨乞いの儀式に使われたとか。15世紀にはイシドロは聖人の一人に数えられ、16世紀には 5月15日を中心にお祭りが開かれるようになったと言われます。

 

お祭りの中心はどこ?

お祭りの期間中は、マジョール広場など市内各所でイベントが開催されますが、お祭りのメインとなるのは、ラ・ラティーナ駅近くのサン・イシドロ参事会教会と、マルケス・デ・バディージョ駅近くのプラデラ・デ・サン・イシドロと呼ばれる公園です。ここに行けば、お祭りを満喫できること間違いなし!

 

プラデラ・デ・サン・イシドロ(Pradera de San Isidro)へ!

 

お祭りのメイン会場の一つプラデラ・デ・サン・イシドロは、マンサナレス川の南側にあります。昔はその名(プラデラ=牧草地)のように牧草地が広がっていたようですが、今は公園になっています。ここには小さなサン・イシドロ礼拝堂(Ermita de San Isidro)もあって、お祭りが開催される数日間は、訪れる人で賑わいます。

メトロの最寄駅はマルケス・デ・バディージョですが、お祭り当日は出入りが規制されるほどの混雑。ひとつ手前の駅ピラミデスで降りて、トレド橋を渡って行く人も多いようです。

当日は混雑で思うように歩けなくなることもあるため、今回は、お祭り前日の午前中11時過ぎに行ってみました。

まずはマルケス・デ・バディージョの出口に到着。ここに着いたら、迷うことはありません。人が流れる方向に進んで行くと、それまで並んでいた建物が途切れて、街路樹の植えられた道路に露店が並びます。お祭り当日でもなく、宵っ張りのスペインでは比較的早い時間ということもあってか、人通りはそれほどでもありません。

プラデラ・デ・サン・イシドロ(Pradera de San Isidro)でピクニック!

マドリッドに来てからの数年は、毎年友達と集まって、礼拝堂の近くの芝生でピクニックをしていました。その頃は何も考えずに楽しんでいましたが、後になって、それはお祭りの習わしだったことを知りました。その様子は、プラド美術館に展示されるゴヤの絵『ラ・プラデラ・デ・サン・イシドロ(La Pradera de San Isidro)』でも見られるように、市民が芝生に食事を広げて、コンサートなども聞きながら、思い思いにお祭りの1日を楽しみます。

チュラポとチュラパ – 伝統衣装に身をまとった人たち

お祭りの数日前から街中で見られるようになるのが、 マドリッドの伝統衣装を着た人たちです。男性は、黒と白の格子柄の鳥打帽とチョッキを着たチュラポと呼ばれる衣装を、女性はチュラパと呼ばれるドレスを着ます。男性は胸ポケットに、女性は頭に赤いカーネーションをつけるのも特徴です。お祭り前には小さな子供達は学校でもチュラポやチュラパを着て登校するので、マドリッド中が華やかになります。

運がよければ踊りも見られる!

今回、礼拝堂方面に歩いて行くと、音楽をかけて踊り始めたグループに遭遇。椅子に立て掛けられた旗を見ると、チュラポ会の人達のようです。マドリッドにはチュラポの会がいくつもあって、このようなお祭りの時にはチュラポやチュラパを着て街を練り歩いたり、踊ったりするとか。主な踊りは「チョティス」。ボヘミア発祥の踊りのようですが、今はすっかりマドリッド民謡のひとつです。女性と男性がカップルになり、女性が軸となる男性の周りを回る独特な踊りを見ていると、何百年も前にタイムトリップした気分になってしまいました。

おやつにはビスケットのようなロスキージャ!

露店には、マドリッド名物の内臓を始めとする食べ物やおもちゃ、カーネーションの造花なども並びますが、目立つのは「Rosquilla(ロスキージャ)」というビスケットのような素朴なお菓子。サン・イシドロのお祭りならではのお菓子です。

最近では、イチゴ味、コーヒー味などお店によってニューフレーバーが増えているようですが、基本は4種類。シンプルな「トンタ(Tonta)」、レモン風味の砂糖がけ「リスタ(Lista)」、メレンゲで包まれた「サンタ・クララ(Santa Clara)」、アーモンドを乗せた「ラス・フランセサス(Las francesas)」があります。

ラードや植物油が使われているので、バターたっぷりのお菓子に慣れていると特別美味しいものでもないかもしれませんが、スペインのお菓子によく使われるアニスが入っていて、日本ではなかなか味わえないものです。

礼拝堂で聖人の水を飲む

通りを更に進むと、突き当たりにサン・イシドロ礼拝堂が見えてきます。

これまで、目の前まで何度も来たことはありましたが、来るのは大抵サン・イシドロのお祭り当日だったので、礼拝堂の前にはいつも長い行列で、中に入ったこともありませんでした。

今回は当日ではなかったからか、すぐ入ることができました。今回の一番の目的は、お祭り前後だけ飲めるというサン・イシドロの泉。てっきり礼拝堂の中で水を貰えるのだと思って勢いよく入ったら、信者がお祈りをしている神聖な場所でした。慌てて外に出てよく見ると、礼拝堂の右横の庭園のような場所に次々と人が入って行きます。私も続いて入って行くと、男性が横にずらりと並んで、水を配っていました。

イメージでは、絵に描いたような泉があって、そこに1列に並んで水を汲むと思っていたのですが、案外合理的でした。空のボトルを差し出すと、バルのウエイターのような男性達が、何も言わずに水差しから水を注いでくれます。何も持っていなければコップをくれますが、これは使い回し。礼拝堂の前では、持ち帰り用に空のボトルも売られています。

この地にはサン・イシドロが仕えていたイバン・デ・バルガスの家が近くにあったと言われ、サン・イシドロが水源を見つけたと伝えられています。神聖ローマ皇帝カール5世の時代には、後にフェリペ2世になる息子が病に倒れた時、この泉の水を飲んで回復したとか。

最初の礼拝堂ができたのは15世紀。息子であるフェリペ2世の熱を下げてくれたことに感謝して、カール5世の妻イサベルが奉納したと言われます。今では、奇跡の泉として、毎年この時期になると水を貰いに行く人も多いようです。(飲用水として市で管理されているので、 飲んでも問題ありません。)

サン・イシドロ教会参事会教会(La Colegiata de san Isidro)でイシドロの棺を拝む

メトロのラ・ラティーナ駅からマジョール広場へ行く途中にあるサン・イシドロ教会参事会教会は、サン・イシドロの聖遺物が保管されている教会で、 お祭り当日は、サン・イシドロの棺を拝むことができると言われます。スペイン人の友人に「5月15日だけ遺体を拝むことができる」と教わったはずなのですが、調べたところ、毎月第3土曜日のミサの後など、他にも年に何度か棺のある場所に入ることができるようです。数年前入った時は、祭壇の裏に安置されている棺をガラス越しに眺め、11世紀の羊飼いの遺体が大事に残されていることに不思議な気持ちになったのを覚えています。

今回も、お祭り当日に何度か行ってみたのですが、この日は何度もミサをやっていて、残念ながら入ることができませんでした。絶対入りたいのなら、ミサの時間を避けて行く必要がありそうです。

その代わりに、今回は 聖人像を中心にした宗教行列が教会に戻ってくるところに出合いました。最初にチュラポやチュラパを来た人たちが、その後から楽隊、そしてサン・イシドロの聖像が止まっては進みながら、ゆっくり教会に向かって来ます。賑やかな音楽の中、最後に教会の前で群がる観客に挨拶するようにぐるりと一回転して、教会に入っていきました。

 

花火で華やかな締めくくり

お祭りを締めくくるのは、華やかな打ち上げ花火。夜の12時になると、アトレティコ・マドリードのスタジアム、ビセンテ・カルデロンから何発もの打ち上げ花火が勢い良く打ち上げられて、マドリッド守護聖人の祭りも幕を閉じます。(ビセンテ・カルデロンは2017年のシーズンを終えたら閉鎖される予定のため、2018年以降は別の場所。)

最近では、祭りの間、レティーロ公園でも音楽と組み合わせた華やかな打ち上げ花火イベントもやっているので、それを見に行くのも良いかもしれません。




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