淀屋橋は大阪の金融ビジネスの中心であり、インテリジェンスな雰囲気が漂う街。
ここにはオフィスビルだけでなく、歴史的建造物やオシャレなカフェなど、見どころがたくさん。今回はそんな淀屋橋の南東(今橋~高麗橋)を歩いてみました。
適塾は、江戸時代に緒方洪庵の開いた蘭学の私塾。
洪庵は日本医学の祖としても知られる医師で、生涯を通じて天然痘の治療と予防に貢献した人物です。
塾生は閉塾までにおよそ3000人。大村益次郎、橋本左内、福沢諭吉などをはじめ多くの著名人を輩出しています。
緒方家から譲渡を受け、現在では大阪大学が管理しています。
建物としては国の重要文化財に指定されており、内覧が可能です(大人:260円)。
受付から順路に従い進みますと、まずは書斎があります。書斎からは美しく手入れされた中庭が見えますね。
そして、手前の応接間と、奥の客座敷は続き部屋となっています。こちらからも中庭が見えます。極上のおもてなしです。
家族部屋やダイニングを通り、たいへん傾斜の急な階段を2階へ上がります。
2階は女中部屋と、この塾生大部屋があります。
福沢諭吉もこの窓から中庭を眺めていたのでしょうか。
外の公園には、洪庵の像が設置されています。小さな公園ですが、お昼時などは近隣にお勤めの方の憩いの場となっています。
さて、建物を出まして1ブロック南側の筋にある緒方ビルには、数々のクリニックや医院が入居しています。
北側1階入り口にある「除痘館の跡」。江戸時代、もっとも恐れられていた天然痘。その研究の活動拠点となったことがうかがい知れますね。実際にここで洪庵が予防接種を行っていたようですよ。
このビル4階には「除痘館記念資料室」があり、無料で誰でも見学できます。
そして重要文化財をもう1つ。適塾のすぐ裏手にある大阪市立愛珠幼稚園です。
1880年に開園。現存する木造幼稚園舎としては日本最古のものとなります。大阪大空襲で焼け残ったものの、木造建造物は空襲の標的になりやすいため、取り壊しが決まっていたようです。取り壊しの予定日は8月4日に定められましたが、荷物の運び出しを引き伸ばして行っているうちに、8月15日を迎えた、ということです。中央区内で戦火を免れた数少ない建物といえます。
現在耐震工事中のため、残念ながら正門は閉じられていました。
そして正門の脇には「銅座の跡」という石碑があります。
さらに時代はさかのぼり1766年、幕府は銅の専売体制を布きます。その際、この地に国内各地の銅が集められ、大阪で精錬されました。銅産業は大阪の重要産業であったのですね。
さてここでひといきお茶でも。
明治・大正時代の著名な建築家、辰野金吾氏設計による歴史的建造物「旧大阪農工銀行ビル」。この外壁を一部利用し、近代建築のレトロな雰囲気を残したまま建替えられたマンションの1階にあるのが、コホロ エルマーズグリーン コーヒーカウンター。
ちょうど適塾の裏手にあります。
店内は木目と白を基調とした、シンプルでゆったりと寛げるインテリアです。カフェスペースの奥のギャラリーでは、うつわなどこだわりの生活雑貨が販売されています。大きな展示台は、アンティークの生地台だったとのこと。
新鋭陶芸作家の個展の開催も不定期に行われているようです。展示作品は月に2回ほど入れ替わるのだとか。
エルマーズブレンドと、タマゴサンドのランチ(1000円)をいただきました。
トーストした食パンは堺の系列店エルマーズグリーン コーヒーアンドベイクスで製造されたもの。薄くスライスされていますが弾力のある美味しいパンです。中のタマゴも上質の卵を使用されているとわかります。グリーンサラダとピクルスがついてきます。ヘルシーながらもお腹にずっしり。
この日はコーヒーは、エチオピア産豆のライトブレンドです。少しの酸味のきいた風味が食後にぴったりです。
とにかく落ち着く雰囲気で、贅沢なひととき。1人か2人、できるだけ少人数でまた訪れてみたいですね。
また、おうちコーヒーを楽しみたい方におすすめなのが、定期的に開催される「ハンドドリップ教室」。豆の保存方法から、産地や器具について、この機会に何でも質問してしまいましょう。90minで費用は2500円。お菓子もついてきますよ。
エルマーズグリーンカフェ
大阪市中央区今橋3-2-2
06-6210-1602
そして、スイーツショップをもう1軒。
Cacaotier Gokan(カカオティエ ゴカン)さん。
北浜の有名店、五感からチョコレート専門店が誕生しました。
中に入ると、本店と同じく重厚な雰囲気。チョコレート菓子のほか、ショートケーキ、アイスクリームなどが豪華に並びます。
一番人気のカカオサンド(378円)を1ついただいてみます。
ハイミルク、ヘーゼルナッツ、オレンジ、カフェの4種類。エクアドルやマダガスカル産のカカオを使用した、とても上品で濃厚なガナッシュチョコレートをチョコレートサブレでサンドしています。
1枚でずっしり。
世界各地のカカオ農園に足を運び、豆からチョコレートを作る菓子職人をカカオティエと呼びます。
カカオティエが創り出す、極上のチョコレート。一つお口に入れると幸せが広がりますよ。
Cacaotier Gokan
大阪市中央区高麗橋2-6-9
06-6227-8131
いかがでしたか?この界隈には、まだまだ魅力的なお店や見どころがたくさんあります。特にレトロな洋館をリメイクしたビルはこの界隈に多く、歩くだけでも楽しめるスポットなんですよ。
モダンとレトロが融合した街、ぶらりと散策してみませんか?
コメント