北海道屈指の湯郷 夏の登別温泉地獄谷を巡ってみた

北海道

広い北海道は日本有数の温泉天国でもあります。温泉の湯量はもちろん日本一で、青森県、鹿児島県と並ぶ日本三大名湯地であることをご存知ですか?広いだけに各地に地元民自慢の様々な温泉があります。その中でも登別温泉は歴史も古く、道内でも屈指の湯郷のひとつと言われています。地獄谷を初めとする泉源も隣接し、大自然も満喫できる温泉郷への日帰り旅を敢行、地獄谷周辺を散策してみました!

 

①:支笏洞爺国定公園内の湯量豊富な温泉郷

 

登別市は札幌から南西方向へ約80キロの人口6万人の町。新千歳空港からはJR特急で約50分、札幌からはJRで約70分、高速バスで約90分で行けますので、観光客のみならず、道央圏の道産子も気軽に寄れる湯の里です。登別温泉は登別中心部から山間部へ約7キロ、JR登別駅からはバスで15分。広大な支笏洞爺国定公園内の大自然に囲まれた場所にあります。

江戸後期の1858年(安政5年)、滝本金蔵が湯守になったことが始まりと言われていますが、その前にも、「北海道」の名付け親になった松浦武四郎が訪れています。金蔵は私費で道を築き湯宿を建築し、現在の基礎を築きます。同温泉のホテルに『滝本』の名が目立つのは、生みの親の名前から取られているのですね。明治38年に日露戦争傷病兵の保養所に指定されるとともに名湯という評判が全国に広まりました。自然湧出量が1日1万トンという豊富な湯量と世界的にも珍しい9種類もの泉質が楽しめるため「温泉のデパート」とも呼ばれ、温泉マニアも納得の名湯ぞろいです。

 

②:伝説から登別のテーマは地獄・閻魔大王・鬼

 

登別温泉の温泉街に入ると、目立つ文字やオブジェのテーマは地獄谷にからめて「地獄、閻魔、鬼」のようです。一定時になると、パフォーマンスを行う、「からくり閻魔」様が観光客の耳目を集めていました。

また、道沿いには、至る所に鬼の像が立っています。写真は念仏鬼像。江戸時代から念仏鬼像が祀られているという小さな祠を赤鬼、青鬼が守っています。

また、「泉源公園」には2013年8月に、霊験あらたかな、九本の鬼の棍棒が登場しています。それぞれ色が違い、登別温泉の湯の守り神である「湯鬼神」と9つの泉質に準えた、9つのパワーを持つ棍棒らしいです。

ここは地獄谷から流れる温泉の川沿いから吹き出す間欠泉を利用した公園でもあります。50分~3時間間隔で熱湯が噴出する煙と湯の“地獄”を目の前で見ることができます。筆者が訪れた時間帯は運よく、温泉が噴き出ていました。

北海道の数ある温泉でも街中でこのような間欠泉がある所は珍しく、湯量の豊富さを物語っています。

 

さて、登別温泉のグルメですが、正直、登別特有の名物、というのが筆者も正直思いつきません。温泉街にはラーメン屋が数件あり、それぞれ地獄ラーメンの名がつく、辛味噌ラーメンなどを提供していますが、少々辛い物が苦手なので、サッポロラーメン「天鳳」のカニみそラーメン(840円)を食しました。

オーソドックスな味噌ラーメンですが、毛ガニのほぐし身がトッピングされています。れをスープに混ぜながら食べていくと、カニのエキスも混ざり、非常に美味しいラーメンとなっていました。値段も良心的だと感じました。また、当然の如く、海鮮ものを食べられる食堂などもありますが、北海道の観光地の海鮮物は基本的には安いとは言えないので、道産子としてはあまりお勧めはしていません。もちろん鮮度は保証できると思いますが。

 

③:登別温泉のシンボル「地獄谷」は必見

 

温泉街を奥に登っていくと、地獄谷の入り口にたどり着きます。入り口の前からすでに、硫黄の匂いがプンプン漂ってきます。この匂い、非常に好きです。駐車場を過ぎると、緑の山々と荒涼とした石灰食の山肌の大地が広がります、至る所で湯煙が吹き上がっている「地獄谷」が姿を現します。

地獄谷は約1万年前のクッタラ火山の爆発火口跡。直径450m、面積は11ヘクタールの広さを誇ります。遊歩道を中央部まで歩くと数多くの湧出口や噴気孔が煙を吹き出し、荒涼とした世界はまさに地獄に来た気分。ここから流れる、灰色に濁った多種類の“湯の河”が登別温泉の泉源となり、各旅館やホテルに送られています。

遊歩道の終着点は地獄谷の中央部。そこには、数分感覚で間欠泉がお湯を噴き上げ、大地とマグマのパワーを十分に感じられました。

地獄谷の中央部から遊歩道を戻り、途中で右に折れると、もう一つの景勝地「大湯沼」への遊歩道となります。距離的には大した距離ではないのですが、山ひとつ越えることになるので、軽いトレッキングぐらいの体力を使います。もし、散策したい方は、歩きやすいシューズやスニーカーを推奨します。女性もヒールやサンダルでは厳しいと思います。車で来られている方は素直に車で移動すれば5分で目的地に到着します。

 

④:まさに大自然!130℃もの温泉を湧出する「大湯沼」

 

真夏で、北海道とはいえ摂氏30度近いうだるような暑さ。体力も自然に奪われ汗だくになりながらアップダウンの激しい遊歩道を約30分、上り下りします。約60種類の樹木や110種類の草木の登別原始林の中を歩くので、涼しい時期は最高の森林浴と運動になりますが、今回はそんな余裕はありませんでした。しかし、歩いた甲斐はあります。もうもうと湯煙を挙げる、大きな沼が姿を現します。

これが大湯沼です。寒い日は、沼全体が湯煙に包まれています。日和山が噴火したときの爆裂噴火後で周囲約1㎞の瓢箪型の沼となっています。駐車場の奥には「奥の湯」もあります。

今回は真夏だったので、残念ながら湯気は目立ちませんでした。大沼湯の水温は摂氏50℃から暑い所は130℃にもなりますので、沼の奥ではグツグツと水蒸気が立ち上っていますし、日和山が今も噴煙を上げ続けています。

大湯沼から観光道路(道道350号)をしばし歩き、右に折れると「大湯沼川探勝歩道」に入ります。歩道を歩くとほどなく「大正地獄」という湯溜まりにたどり着きます。

この湯溜まりは夏でも一面湯煙に覆われ、硫黄の匂いがより強く充満しています。約90℃の温泉が出ているのですが、不規則な湧出を行い、時に湯が枯れることもあります。その後、新しく出てきた湯釜は透明ですが、その後、青、白、ピンク、灰色、黒などと変化するのです。その原理はまだ分かっていないとのことで、自然の神秘を感じさせる沼です。筆者が訪れた時は濃い青から灰色系統でした。また、極めて稀ですが突然、湯泥が激しく噴出するときもあるので注意を促す貼り紙もありました。

 

⑤:散策の疲れを癒せる人気の天然足湯が最高!

 

大湯沼と、この大正地獄から湧出したお湯が合流し、大湯沼川を形成。この「湯の川」沿いの遊歩道を下っていきます。

川床の苔と相まって川の流れは淡い緑色で普通の河とは趣が違いますがとても癒されます。歩道を下っていくと、人気の大湯沼天然足湯が姿を現しました。

原始林に囲まれた天然足湯はマイナスイオンが一杯。散策で疲れ切った足を癒すことができるので、歩き続けた筆者にはまさにオアシスにしか見えませんでした。

湯温は季節や天候で変わるのでしょうが、筆者の感覚では40℃程度でちょうど良い感覚。染み入るような感覚で足に溜まった疲れが川に流れ出ていくようでした。足湯から上り、大湯沼探勝遊歩道を進むと、アスファルトの道路に出ます。左に折れてそのまましばらく、進むと、登別温泉街にたどり着きました。地獄谷から散策して約3時間ほどたっていたでしょうか。

 

⑥:銭湯料金で天然温泉を満喫「湯元さぎり湯」

 

最後は温泉郷に来たのですから温泉を味あわないと意味がありません。ホテルも日帰り入浴を受け付けていますが、少々、値段はお高いです。ここはコスパを重視して、バスターミナルそばにある、日帰り入浴専門の温泉銭湯「湯元さぎり湯」に入りました。入浴料は銭湯値段の420円。それでも地獄谷から引いている天然温泉なのがうれしいですね。

低温の白濁した2種類の泉質の湯船や泡ぶろなどがあり、サウナも完備。日帰りの方はイチ押しの温泉ですよ!

 

まとめ

 

今回は登別温泉の日帰り散策できる場所を歩いてみました。実は大湯沼よりさらに奥に進むと、カルデラ湖で国内有数の水の透明度を誇る「クッタラ湖」があり、非常に神秘的な湖でぜひとも紹介したかったのですが、時間と体力が持ちませんでしたので、改めて紹介できる機会があればと思います。また、今回歩いた以外にも、楽しめる遊歩道がたくさんありますので、宿泊の方も日帰りのかたも、素晴らしい温泉と大自然を思い思いに楽しまれてはいかがでしょうか。

 

スポット情報

登別温泉

住所:北海道登別市登別温泉町

TEL:0143-84-3311(登別観光協会)

URL:http://www.noboribetsu-spa.jp/(登別観光協会)

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