ドイツでの結婚の形や婚姻後の名前はオプションがありすぎ?

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日本と同じように、ドイツでも結婚する際に婚姻後の名前をどうするかについて考えなくてはなりません。
ただドイツの場合は長男が家を引き継ぐ家父長制度や、代々続く自分の一家を守らなくてはならないといったしきたりはそれほど厳しくありません。もっとも、このような傾向になったのは最近のようです。

ドイツの家族制度は意外にコンサバだった

昔のドイツでは男女が結婚した場合、女性は男性の姓を名乗ることが義務付けられていました。日本ではサザエさんの旦那さんであるマスオさんのように婿入りし、男性が女性の名前に変えることは許されているのに、ドイツでは女性は必ず男性の姓に変えなくてはならなかったのですね。この制度が撤廃されたのは1976年だそうです。

私の周囲では「自分の姓が嫌なので結婚して日本人の奥さんの名前に変えている」というドイツ人男性が数人いますが、一昔前はできなかったのです。
また1994年からは夫婦別姓も認められるようになっています。周囲の知人の中には夫婦別姓にしている人は結構多いです。理由を聞くと「名前を変えるとクレジットカードなどの名前も全部変えなくてはならないから面倒くさい」とか「離婚する時に面倒(!)だから」のだそうです。

また二人の苗字をつなげたダブルネームの人もたくさんいますが、できるのはどちらか一方だけです。またダブルネームの人が離婚して新たに結婚した場合、以前の旧姓のダブルネームに新しい配偶者の名前をつなげてトリプルネームにすることはできません。

結婚後の姓にはどんなオプションがあるの?

いろんな形があってややこしいと思った方のために、ここで結婚後の姓についてまとめておきましょう。簡単に言うと次のようになります。

• どちらか一方の姓を名乗る
• 離婚した後に名前を変えていない場合、再婚後に以前の配偶者の姓を名乗る
• 夫婦別姓にする
• ダブルネームにする。ただし両者がダブルネームにすることはできず、どちらかのみ。
• ダブルネームの人が再婚した場合、トリプルネームにすることは禁じられている

夫婦別姓を選ぶ人が増えている

今年(2019年)のとある記事によると、ドイツ内では夫婦別姓にする人の割合が増えているそうです。この制度が導入されたのは94年ですが、96年に夫婦別姓にした割合は婚姻した人全体の中の8.8%にとどまっていたのが、2006年には11.5%、2016年には13.5%になっているそうです。

メルケル首相の「メルケル」は前の旦那さんの苗字

手続きが大変なのか、あるいは離婚して名前が旧姓に戻る事を周囲に知られたくないからなのかわかりませんが、離婚後も苗字を変えていない人はけっこうな割合でいます

身近な例で言うとメルケル首相は政治家になるよりずっと前、ライプチヒ大学で物理学を勉強していた頃に学生結婚をしますが、数年後には離婚しています。
現在は大学教授の化学者と結婚していますが、メルケルという名前は以前の旦那さんの苗字です。今の旦那さんとは長い間、事実婚を続けていましたが、政治家として要職につく頃に正式に結婚しています。その後も名前を変えずに政治家としての活動を続けているということは、恐らく夫婦別姓にしているのではないでしょうか。(あるいは仕事上の名前を昔のままにしていることも考えられます)

一緒に暮らしているのに親子で苗字が違うケースもある

私のドイツ人の知人はシングルマザーでした。離婚後も名前を変えず、以前の旦那さんの姓を名乗っていました。その彼女は最近になって再婚したのですが、名前は旦那さんの姓に変えています。でも一緒に暮らしている子供は自分のお父さんの名前のままなので、母親と子供で苗字が違います。
なんとなく違和感がありますが、制度に沿っていくとこのようなパターンもあり得るのですね。

日本のパスポートの名前を変える

前の記事でドイツでの婚姻についてお伝えしましたが、日本人がドイツで婚姻した後はパスポートの名前も変えることができます。

最近になって知ったのですが、ドイツでは旦那さんの名前にしているのに日本のパスポートはそのままの旧姓にしているという方がけっこういらっしゃるのです。
そんな事ができるのかと初めて知った私ですが、調べてみたところ「婚姻の相手が外国人の場合、外国人配偶者と同一の氏(姓)となることを希望する場合には、婚姻後6か月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ずに外国人配偶者の氏に変更することができる」のだそうです。

逆に言うと手続きをしないと旧姓のままのパスポートとなるのですが、理由を聞くと「パスポートの名前を変えてしまうと日本に残している銀行口座などの名前も変えなくてはならないし、一時帰国の際にいろいろと手続きがややこしい」ので変えていないそうです。
この知人はドイツ人と結婚しており、二児の母親です。国際結婚をした両親の子供は両方の国籍を持てるのですが、彼女のお子さんの場合は日本のパスポートの苗字とドイツのパスポートの苗字が違うそうです。なんとなく不思議な気がするのですが、このようなケースはけっこうあるそうです。

結婚と同等の権利を持つ事実婚

ドイツにはパートナシップ制度というのがあり、事実婚の法的基盤がしっかりと整っています。ドイツ語ではLebenspartnerschaftといい、訳すと「生涯パートナーシップ」となり、結婚と同等の権利が認められていますドイツではつい最近まで同性による婚姻が認められていなかったので、ホモセクシュアルの人たちが結婚を望んだ場合、この制度を利用する人が多かったのです。

普通に結婚することとパートナーシップ制度による結婚の何が違うかというと、言葉の使い方や法律上の違い以外には特に無いようです。
例えば日常会話で結婚している人の場合は「私の妻」と言いますが、パートナーシップ制度を結んでいる人は「私のパートナー」という言い方ですし、結婚では「離婚」といいますがパートナーシップ制度では「関係を解消する」という言い方をします。
家族構成を選ぶ欄では独身、既婚、死別、離別の他に「登記されたパートナーシップ」や「解消されたパートナーシップ」が選択肢にあります。
https://www.lebenspartnerschaft.de/unterschied-ehe-und-eingetragene-lebenspartnerschaft.html
https://www.steuerklassen.com/lohnsteuerklassen/eingetragene-lebenspartnerschaft/

現在は同性婚が認められている

パートナーシップ制度からさらに発展を遂げ、現在ドイツでは同性同士でも結婚ができるようになりました。法律が変わったのは2017年ですが、この法案がドイツの議会で可決された時のことは今でもよく覚えています。
メルケル首相は同性婚を「党議拘束で決定してはならない。己の良心に基づいた判断をするべきだ」として本人は結局、反対票を投じました。しかし結果的に議会で賛成票が過半数をとったため、同性婚は法律的に認められるようになりました。
その結果を受けてメルケル首相は「私にとっては、結婚とは男性と女性がするものだ。でもこの法案が可決されたことは歓迎する」と答えています。ドイツ社会が発展していく中で、同性婚は認められるべきだと考えたのだと思われます。だからといって結婚というセンシティブな問題は政党政治に左右されるべきではなく、そのため「己の良心に従った判断」をしたのでしょう。

子持ちの同性カップル

私が住んでいるベルリンはリベラルな町で、同性愛者を公言している人も多くいます。ベルリンの前の市長は同性愛者で、パートナーの男性を同伴して公の場によく現れていました。
また私の身近には女性同士のカップルで子供がいらっしゃる人もいますが、それを揶揄する人は誰もいません

同性婚とは結婚相手が同性であること以外、他は何も変わらないのです。子供も一緒に3人で暮らしているので家族であることは一目瞭然です。これを初めて見た人は戸惑うものの、その形態を少しずつリスペクトするようになっていくようです。
多様性のある社会とはこうやって少しずつ発展していくのだと思わされます。

宗教上の結婚

法律上では結婚したことにはならないのですが、結婚の形態としては他に宗教による結婚があげられます。

キリスト教による結婚

いわゆる教会で行う結婚ですが、新郎新婦のどちらかがキリスト教徒である必要があります。日本で結婚式をあげる場合、キリスト教とはまったく関係なく教会で結婚式をあげることができますが、そのことを欧米の人に話すとみんなキョトンとします。
「なんで信者でもないのに教会で式をあげるの?」
といつも聞かれます。その度に「日本ではクリスマスもお祝いするよ。宗教観をまったくもたずに普及している日本はリベラルでいいでしょ?」と答えていますが、これは本音です。

ドイツでは宗教の違いから生じる社会問題が多いので、神仏混合かつキリスト教文化も受け入れる日本は寛容で素晴らしいと思います。

イスラム教による結婚と児童婚の問題

ドイツではキリスト教徒が圧倒的に多いですが、次に多いのがイスラム教徒です。ここで時代背景について少し説明しましょう。

ドイツは日本と同様に敗戦後に一気に経済成長を遂げた国です。その一環で60年代くらいから労働力としてトルコ、イタリア、ギリシアなどから移民を受け入れました。中でも多かったのがトルコからの移民です。彼らの多くが本国には戻らず、ドイツに永住することになりました。現在はドイツ生まれのトルコ系移民となる2世、3世が多く住んでいるので、イスラム教徒も多くいるのです。
また2014年くらいからドイツはたくさんの難民を受け入れたのですが、その人たちの多くはイスラム教徒です。

しかしイスラム教の世界では、ドイツの法律にそぐわないような低年齢で結婚することを認めています。そのため児童婚の問題はドイツの社会問題の一つとなっています。
聞くところによると、インターネットで結婚できてしまうそうです。イマーム(指導者)あるいは結婚を認める権限を持つ人とスカイプのようなビデオチャットでつながり、愛を誓いあうことで結婚したことになるそうです。
もっとも児童婚をする人は全体のごく一部で、多くの人は適齢期で結婚しています。その点については偏見を持たないように気を付けなければなりません。

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