住む、旅行するとなると気になるのは治安だと思います。特に女性同士や子供と一緒となるとなおさらです。私自身ベルギーで危険な目にあったことはありませんが、泥棒に入られた、スリにあったという話は聞きます。ここではベルギーで多い犯罪手口、そしてその対策を紹介したいと思います。
残念ながらベルギーは日本より治安がいいとは言えません。参考までに在ベルギー日本大使館が発行している資料(2012年の犯罪発生率)を見てみましょう。
自転車盗 日本の1.1倍
スリ、ひったくり 日本の5.2倍
自動車窃盗 日本の6.4倍
住宅への侵入盗 日本の15.2倍
侵入強盗 日本の134倍
数だけを見ていると恐ろしくなりますが、気をつけるポイントさえ押さえていれば犯罪に合う確率は確実に減りますので、一読ください。
・自転車盗
特に大学のある街で頻繁に発生するのが自転車の盗難です。鍵を掛けるのは当然のことですが、そのまま持っていかれないように据え付けのものに自転車をくくりつけるということが大事です。人によっては複数の鍵をつけています。集合住宅の多くは住人しか入れない、鍵のかかる駐輪場が設けられています。非常に残念なことに、この駐輪場内でも被害にあうことがあります。この場合自転車自体を盗まれることは少なく、多くはカバンやサドルなど付属品が盗まれています。防ぐ方法としては簡単に取り外せるものは必ず取り外し(カバンやライトなど)、サドルはワーヤーロックなどで自転車に固定するといいでしょう。鍵を複数つけている、という事実だけで狙われる可能性は格段に減ります。実際にわが家の自転車は2度、駅の駐輪場で盗難未遂にあいました。1度はサドルを盗ろうとした痕跡がありましたが、ワイヤーロックをかけていたので諦めたようです。2度目は自転車を盗もうとし鍵を壊そうとした跡がありましたが、頑丈な鍵のおかげで免れました。頑丈な鍵は高いですが、お守り代だと思って節約しないほうがいいと思います。
・スリ、ひったくり
邦人がよく犯罪に合う場所は観光地、鉄道駅、電車の中、カフェやレストランです。最近ではスマホのGPSで地図を見ながら移動をする人がいますが、絶対にやめましょう!スマホを操作することで注意力散漫になり、スリやひったくりに合いやすくなります。日本よりスマホが高価に取引されていますので、スマホを狙う犯罪も多く聞きます。よく言われていることではありますが、とにかく貴重品を持つのは最小限にし、人前ではなるべく出さないようにしましょう。観光客が巻き込まれやすい事例としては「タバコない?」「ライター貸して」と突然声をかけられるものや絵の具やケチャップなどで服を汚して注意をそらし、スリを行うというものです。特に日本人女性は若く見られ、力も弱いので狙われやすいです。声をかけられても、決してカバンを開けて煙草やライターなどを探さないようにしましょう。もちろん中には本当にタバコが欲しくて聞いている人もいるとは思いますが、無視するのが一番です。相手にしなければ犯罪に巻き込まれる率は低くなります。
・自動車窃盗
レンタカーを含め自動車に乗る場合には、必ずドアをロックしてから運転してください。信号待ちの間に助手席のドアを開けられ、バッグを盗られたという話も耳にします。車を離れる場合には施錠したかどうかきちんと確かめ、車内に荷物を放置していかないことも大事です。その他に狙われるものとしては、高価なカーナビやオーディオです。取り外し可能なカーナビを使用している人は、車に残していかないクセをつけましょう。
・住宅侵入、強盗
住宅への侵入は防ぐことが難しいのが現状です。犯人は顔を見られ、捕まることを恐れているので基本的に不在時に侵入しようとします。そのため住人が留守にしているかどうかをまず確認します。ポストに手紙が溜まっていたり、ずっと電気がついていない、ゴミが出ていない(特に一軒家)などのサインを見ているといいます。また在宅時にインターフォンが鳴ったら、必ず誰なのか確認してから開けるようにしましょう。ランダムにインターフォンを鳴らすことで在宅、不在を確認している場合もあります。実際に出てみると「隣と間違って押してしまった」と言い訳したり。インターフォンに映る姿がフードや帽子を深くかぶって顔を隠すようにしている場合は要注意です。ベルギー人に聞いた話ですが、見慣れない人がアパートや玄関の前をうろうろしていたら「こんにちは」と挨拶をしてみるといいそうです。やましいことをしている人ならすぐに逃げてしまうからです。そしてその地域には人の目があることを知るので、犯罪防止にも繋がります。自分の住居は自分で守る、ベルギーらしい考え方だと思いました。また家族旅行や帰省など長期で家を開ける際は、家の前からタクシーを乗るのは極力避けた方がいいと言われています。家を空けるというのを宣伝しているものです。タクシー運転手たちの多くは移民であり、富裕層ではありません。残念なことにぼったくりも頻繁に発生しています。もしタクシーで空港などに行く際は、家を特定されないようにバス停などから乗車するといいと思います。
・テロ関連
最近ではベルギー=テロというイメージがついてしまっています。残念ながらテロを回避する完全な手だてはありません。テロの標的となりやすい場所には近づかないようにと言われていますが、公共交通機関、観光施設を全く利用しないというのは難しいことです。行く予定の場所の状況を自分で確認し、判断するようにしてください。
外務省海外安全HP:http://www.anzen.mofa.go.jp
各国危険情報やお知らせなどが確認できます。
たびレジ:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/
外務省が提供している「たびレジ」というシステムがあります。旅行日程や滞在先を登録しておけば、最新の安全情報や緊急連絡先などを知らせてくれますので、自分で調べる手間が省け便利です。
・ベルギーの緊急連絡先
警察:101
消防、救急:100
EU共通の緊急連絡番号:112
(警察、消防、救急共通、必要に応じて各国の部署に転送します)
日本大使館:+32(0)2-513-2340
・まとめ
読者を脅かそうと思ってこのような記事を書いたのではありません。ここに書いたような犯罪は、ベルギーだけでなく他の国でも同様に起こりうることです。絶対に事件に巻き込まれない安全な国はないため、知っていて損はないと思います。当たり前ですが犯罪に巻き込まれるとその国の印象は悪くなってしまいます。事後処理は非常に時間と労力を使います。ほんの少し気をつけるだけ、手口を知っているだけで防ぐことが出来ることがあります。有意義な時間を過ごすためにも犯罪に巻き込まれるのを未然に防ぐということが何よりも大事です!この記事を読んで少しでも気をつけていただき、楽しい時間を過ごしてもらえれば嬉しく思います。
*写真の補足
自転車:手前に見える輪にカギを通し、自転車を建物に固定します。分かりにくいですが、奥に見える自転車もこの方法で固定してあります。
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