ウィーンを観光するのならば、まず美術館やオペラ劇場など芸術系の施設に行ってみたいという方が多いのではないかと思います。でも皆さんはウィーンに、丸一日遊べる大きな技術博物館も存在するということをご存知ですか?ウィーンの技術博物館には、小さな子どもから大人まで楽しめる、魅力的な展示物がいっぱい。今回はウィーンの技術博物館「Technisches Museum Wien(テヒニッシェス・ムゼウム・ウィーン)」をご紹介したいと思います。
ウィーン技術博物館の歴史
ウィーン技術博物館は皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の即位60周年記念として1908年に建設されることが決定されました。
設計はEmil von Förster(エミール・フォン・フォルスター)というオーストリアの建築家に任されましたが1909年に彼が亡くなってしまったため、続けて仕事をしてくれる人を公募することになりました。
24の応募があった中、フォルスターのアイディアに近かったMax Hegele(マックス・ヘーゲレ)、Rudolf Krausz(ルドルフ・クラウスツ)、Hans Schneider(ハンス・シュナイダー)のアイディアが採用されることとなりました。
博物館は1913年に完成し、1914年オープンする予定でしたが、第一次世界大戦の影響で延期となり、実際にオープンしたのは1918年でした。
ウィーン技術博物館の様々なコンセプト
ウィーン技術博物館は4階建ての大きな建物です。館内の展示品は、コンセプトごと区切られて展示されてあります。
1階
・自然と認識(Natur und Erkenntnis(ナトゥーア・ウント・エアゲントニス)
・動き(In Bewegung(イン・ベヴェーグンク))
2階
・エネルギー(Energie)
・街の未来(Die Zukunft der Stadt(ディー・ツークンフト・デア・シュタット)・・・2018年6月の特別展
・機関車体験(LOK.erlebnis(ロック・エアレーブニス)
・重工業(Schwerindustrie(シュヴェアーインドゥストリー)
3階
・日常(Alltag(アルターク))
・仕事(In Arbeit(イン・アルバイト)
4階
・メディアワールド(medien.welten(メディエン・ヴェルテン)
・音楽楽器(Musikinstrumente(ムジーク・インストルメンテ)
・乗り物(Mobilität(モビリテート)
また、3階には2歳から8歳の子ども達のためのプレイルーム「mini mobil」(ミニ・モビール)と、2歳から6歳までの子どもたちのプレイルーム「das mini」(ダス・ミニ)があります。それでは、それぞれのコーナーの中身を詳しく見てみましょう。
動き
世の中に存在する「動くもの」の様々な形や構造を、触ったり体験しながら学んでいくコーナーです。8歳から14歳くらいの子どもを対象としています。
ここでは、車いすシミュレーターで車いすに乗る感覚を体験、線路の上と道路の上の車輪の動き方を比べる体験、スタートからゴールまでミニチュアの山や川を越えて道をつなぐ体験など、30もの体験ステーションが用意されています。
自然と認識
人が、自然からどんな知識を得て、どんなことを学んできたかを知ることができるコーナーです。ここでは、天文時計、地球儀、レントゲンの機械、19世紀の計算機などを見学することができます。
エネルギー
木を燃やして光や熱を得ていた昔から、石油や天然ガス、ウランや電気を使うようになった今まで、人がどのようにエネルギーを発見して活用するようになったのかを、学ぶことができるコーナーです。
街の未来
都心部で年々増え続ける人口。場所、食料、エネルギー、ゴミ問題にどう対処すべきかという問いに対する様々なアイディアを見ることができるコーナーです。
機関車体験
60台を超える、鉄道のコレクションを見ることができるコーナーです。中には150年もの古さの、オリジナルの皇妃エリザベスのための皇室貨車のような貴重なものまで展示されています。小さな子どもたちにも大人気のコーナーです。
重工業
重工業の歴史を学べるコーナーです。たくさんのモデルがあるため、子どもでも目で見て、楽しく学ぶことができます。
日常
19世紀から20世紀にかけて、人々の日常がどのように変化してきたかを体験することができるコーナーです。「こんなのあったなあ!」と思わずクスリと笑みが漏れる様な懐かしの家電や家具、おもちゃなどを目にすることができるでしょう。
仕事
昔と今では、仕事や職業の内容や様子はどのように変わってきたのでしょうか?800平方メートルの展示スペースには、珍しい仕事道具や、昔の作業場や工場などのモデルが展示されており、大人も子どもも楽しめる内容となっています。
メディアワールド
テレビや電話、カメラ、インターネットなどのメディアがどのように発達してきたかを学べるコーナーです。コンピューターターミナルでは、展示スペースのヴァーチャル散歩を楽しむこともできます。
音楽楽器
音楽楽器の構造をわかりやすく学ぶことができるコーナーです。特に、鍵盤楽器は充実しており、チェンバロやピアノの内部構造を、実際に手で触ったり目で見たりして知ることができます。また、楽器の製造工程をビデオで鑑賞することもできます。
乗り物
自転車や自動車などの身近な乗り物から、飛行機や船などの大きな乗り物まで、昔から現在に至るまでの様々なモデルが展示されていて、その歴史を学ぶことができます。実際に乗ることができないのはちょっと残念ですが、とにかく種類が多いので楽しめること間違いなしです。
ミニ・モビールとダス・ミニ
技術博物館は家族連れに人気の博物館ですが、小さい子どもには理解できない展示も多いですよね。そんな小さな子ども連れの方にお勧めなのが、技術博物館のプレイルーム「ミニ・モビール」と「ダス・ミニ」。
このプレイルームは、普通の屋内遊び場とは違い、遊びながら楽しく技術を学ぶことができるような仕掛けがたくさんあるんです。
船の上で魚つりをしたり、海賊の服に着替えたり、ロケットに乗ったり、飛行機を操縦したりと、小さな子どものワクワクがタップリ詰まったスペースです。
プレイルームの入場には大人の同伴が必須です。
レストラン
技術博物館の2階にはレストランがあるので、お腹がすいたら館内で食事も可能です。
入館料
大人 13ユーロ
学生、シニア 11ユーロ
19歳以下 無料
Technisches Museum Wien
住所: Mariahilfer Straße 212, 1140 Wien
電話: +43 1 89998 0
開館時間: 月曜日から金曜日 9:00-18:00、 土日祝日 10:00-18:00
1月1日、5月1日、11月1日、11月25日、12月31日は休館日
アクセス: Winckelmannstraßeより徒歩2分
コメント