オーストリアのクリスマス

オーストリア

オーストリアは、敬虔なキリスト教徒が多い国です。そのため、クリスマスはオーストリア人にとって、大変重要な行事の一つです。今回は、そんなオーストリアのクリスマスの様子や文化についてご紹介したいと思います。

 

1.Adventkranz(アドベントクランツ)

11月頃から、街のお花屋さんや雑貨屋さん、スーパーマーケットにまで姿を現すこの飾り。これは、アドベントクランツと呼ばれるもので、モミの木の土台の上に、4本の大きなロウソクがのっています。手先の器用な人は、手作りを楽しむ人も多いようです。

「アドベント」とは、12月25日の4週前の日曜日から、12月24日までの期間のことで、到来や出現といった意味があるそうです。

アドベント期間の日曜日の午前中には、アドベントクランツのロウソクに火が灯されます。家族そろってロウソクの火を囲み、歌を歌う家庭もあります。1回目の日曜日には一本だけ、2回目の日曜日には2本、とクリスマスが近づくたびに火が灯るロウソクの数が増えていき、いよいよ4本全てに火が灯ると、やがてクリスマスがやってくるというわけです。

 

2.Adventkalender(アドベントカレンダー)

子どものいる家庭などで喜ばれるのが、このアドベントカレンダー。1から24までの数字の書いた窓がついている箱の中には、チョコレートなどが入っています。12月1日には1の窓を開け、2日は2の窓を、と毎日一つずつ開けながらクリスマスを待つ、というとても可愛らしいこのカレンダー。11月頃から、お菓子屋さんにはたくさんのアドベントカレンダーが並びます。変わりアドベントカレンダーには、ビールや紅茶のアドベントカレンダーなど、大人向けのものもあるようです。

 

3.サンタさんは来ないオーストリア。代わりに来てくれるのは?

オーストリアは、サンタクロースの管轄外なのだそうです。

そんなオーストリアでサンタクロースの代わりにやってくるのが、Nikolaus(ニコラウス)という聖人
彼がやってくるのはクリスマスではなく、12月6日です。子供がいる家庭では12月5日に、ぴかぴかに靴を磨いてから眠りにつきます。1年間子供がいい子だった場合には、眠っている間にニコラウスがやってきて、靴の中にチョコレートやみかん、ナッツなどを入れてくれます。
1年間子供が悪い子だった場合には、ニコラウスでなくKrampus(クランプス)という、角の生えた悪魔がやってきて、灰を置いていくのだそうです。

11月末頃から、スーパーマーケットなどではニコラウスやクランプスを模ったチョコレートが売られます。12月6日には、街の広場や公演、ショッピングモールなどで、ニコラウスが子供たちにお菓子を配る姿も見られます。

ちなみに、家庭にニコラウスやクランプスを呼ぶサービスというものもあります。訪問は大体20分から30分くらいで、事前にメッセージを送っておくと、今年はどんなところが素晴らしかったか、来年はどんなことに気を付けるべきか、などのお説教をニコラウスが子供にしてくれます。またお菓子も持ってきてくれるので、子供たちも大喜びのイベントになるでしょう。料金は50ユーロから100ユーロの所が多いようです。

 

4.クリスマスツリー

ドイツ語でクリスマスツリーのことはWeihnachtsbaum(バイナハツバウム)と言います。オーストリアでは、プラスチックのクリスマスツリーではなく、毎年本物のモミの木を購入してクリスマスツリーにするのが一般的です。

モミの木はドイツ語でTannenbaum(タンネンバウム)と言います。

毎年クリスマスが近づくと、街の至る所でモミの木が売り出されます。大小さまざまなサイズのものがあるので、自宅の高さにあったモミの木を選び、車などで持ち帰り、飾り付けます。

モミの木の飾りは、クリスマスマーケットやインテリアショップなどで購入したものを飾り付けます。クリスマス当日は、火が付いた本物のロウソクや、線香花火などまで飾られます。木造住宅に住む人も多い日本人からすると、木が燃えて家事になってしまわないか、ちょっと心配になってしまいますよね。

クリスマスが過ぎると、モミの木は指定の場所に出しておくと、回収してもらえます。一年で使い捨てというのは、少しもったいない気がしてしまいますね。

 

5.クリスマスのクッキー

クリスマスに欠かせないお菓子は、クッキー。クリスマスが近づくと女性たちはせっせと家族たちのためにクッキーを焼きます。

いろいろな種類のクッキーがあるのですが、特にオーストリアでクリスマスの時期に焼かれる伝統的なクッキーは(バニーレンキプフェル)というもの。

三日月型のサクサククッキーは、オーストリアのクリスマスに欠かせない存在です。

 

6.クリスマスにプレゼントを持ってくるのは誰?

 

先ほど、オーストリアはサンタクロースの管轄外と申し上げましたが、それではクリスマス当日に子供たちがプレゼントをもらえないのかといえば、そうではありません。

日本人にとって12月24日は、恋人たちの日というイメージがありますが、オーストリアは家族で集まる日です。

この日、どこからともなくチリンチリン、と鈴の音が鳴ります。これは、Christkind(クリストキント)がやってきた合図。クリストキントとは、クリスマスに現れる天使で、子供たちのためにプレゼントを用意してくれるのです。

鈴の音がなると、子供たちはクリストキントを探しに家じゅうを探検に行きます。でも、クリストキントの姿を見ることはできません。なにしろ、天使ですので。。。

気が付くと、モミの木に飾られた花火が燃え、ロウソクには炎が灯されており、モミの木の下はプレゼントでいっぱいになっているのです。子供たちは、クリストキントがやってきたと大喜びです。

その後、モミの木を囲んで、家族そろってクリスマスの歌を歌って、クリスマスをお祝いします。

この手順は、家の大きさや、子供の年齢など、家庭の諸事情によって少し変わってきますが、共通しているのは、プレゼントが枕もとの長靴に入って届くのではなく、モミの木の下に現れるということと、プレゼントを持ってくるのがサンタクロースでなく、クリストキントということです。

 

7.クリスマス当日

 

明るく華やかな日本のクリスマスと違い、オーストリアでは家族みんなでご馳走を食べて静かに過ごします。クリスマスマーケットもクリスマス当日には全て閉まり、街も人通りが少なくなりひっそりとします。雰囲気としては、むしろ日本のお正月に近いのが、オーストリアのクリスマスなのではないかと思います。

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