留学や就職などで、オーストリアに6か月以上長期滞在することが決まったのならば、滞在許可の申請が必要になってきます。その滞在許可を申請するために必要なことの一つが、オーストリアの銀行口座の開設です。基本的に、銀行の従業員は英語を話す人がほとんどなので、英語またはドイツ語で会話ができて、必要書類をすべてそろえていけば、問題なく開設することが可能です。
1.ウィーンにはどんな銀行があるの?
日本と同様、オーストリアにも数多くの銀行があります。街中で多く見かける、大手の銀行は、Bank Austria(バンクオーストリア)、Erste Bank(エアステバンク)、Raiffeisen Bank(ライフアイゼンバンク)、Bawag P.S.K(バーヴァク ペーエスカー)などでしょうか。ほかにもたくさんの銀行がありますし、利子やクレジットカードの年会費がお得なネットバンクもあります。
どこの銀行に口座を開いたらよいか、ということでまず悩むのではないかと思うのですが、筆者がお勧めするのは、自分の自宅や、職場の近くに支店がある銀行で、とりあえず口座を開設することです。
銀行によって、利子や、口座維持手数料などは異なりますが、それらは変動するものですので、まずは快適に利用することを一番に考えるのがよいのではないかと思います。
2.口座開設に必要なもの

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口座開設に必要なものは、銀行によって微妙に異なります。パスポート(Reisepass(ライゼパス))、住民票(Meldezettel(メルデツェッテル))、学生であれば学校に在籍しているという証明書などが主にどの銀行でも必要とされる書類です。
一部の銀行では、口座開設のために滞在許可証が必要というところもあります。滞在許可証の申請のためには、オーストリアの銀行口座を持っていないといけないため、 もしも滞在許可を持っていない状態で銀行口座を開きたい場合にはこのような銀行は諦めて、ほかの銀行で口座を開設するようにしてください。
3.予約をとろう
必要書類を持って、直接銀行に行って銀行口座の開設相談をしても良いですが、行員の人達の時間が無い場合、長く待たされてしまったりすることもあるため、予め予約をした方が待ち時間もなくスムーズに開設することができるでしょう。
直接銀行で予約をしても良いですし、電話をしても良いでしょう。言葉が少し不安な場合は、インターネットで予約できる銀行もあるので、銀行のホームページを見てみましょう。
4.いろいろある口座の違いは何?

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口座を開くときに、Girokonto(ギロコント)とSparkonto(シュパーコント)という2つの口座を開くことになってしまい、なぜ2つあるのだろう、と困惑することがあるかもしれません。
ギロコント(またGehaltkonto(ゲハルトコント))というのは、日本でいう普通預金口座のようなもので、いつでもお金が出し入れできる口座です。
シュパーコントというのは、定期預金口座のようなものです。シュパーコントから直接お金を引き出して使用することは不可能で、シュパーコントに入っているお金を使いたい場合は、一度自分でシュパーコントからギロコントにお金を移動させる必要があります。この作業が一見面倒に見えるため、シュパーコントを使用せず、ギロコントにすべてのお金を入れっぱなしにしておきたい、という方も多いのですが、シュパーコントの方がギロコントよりも利子が高いので、普段使わないまとまったお金はシュパーコントに入れておいた方がお得です。ギロコントとシュパーコントのお金の移し替えは、インターネットや、銀行によっては携帯のアプリでも手軽にできたりするため、是非二つの口座をうまく活用してみてください。
5.学生さんは絶対お得な学生用の口座を利用すべし
オーストリアの銀行は、日本の銀行とは違って、口座を持っているだけで口座維持手数料がかかる銀行がほとんどです。Bawagのように、平均して月に880ユーロ以上ギロコントに預金がある人は口座維持手数料を免除してくれるような銀行もありますし、ネットバンクには口座維持手数料がない場合が多いですが、その他の大手の銀行は、ほとんどどこでも口座維持手数料がかかってしまいます。その金額は銀行によって異なりますが、大体3か月で15ユーロ程度の銀行が多いでしょう。1年だと60ユーロ程かかることになるので、馬鹿にならない金額ですよね。
また、オーストリアではほとんどの場合、クレジットカードに年会費が発生します。年会費が発生しない銀行系のクレジットカードはネットバンク系のもの以外は皆無と言ってよいでしょう。この年会費も銀行によって大きく異なります。
でも、これらの費用が免除になる口座があります。それは、学生用の口座です。オーストリアで学生をしている人は30歳になるまで、その口座維持手数料が無料になる学生用の口座を開ける銀行が多くあります。
また、スタートボーナスとしてお小遣いがもらえたりするサービスもあったりするので、インターネットで色々比較してみてくださいね。
6.口座開設の際にすること
口座開設の際にすることと言えば、行員の方の質問に答えて書類にサインをすること程度なので、1時間もあれば十分でしょう。筆者は、口座開設に通訳として同行することが度々あります。数年前までは、ややこしい質問など全くなく、スムーズに口座が開けていたのですが、ここ最近口座開設において行員から根ほり葉ほり質問されることが多くなってきたという印象があります。
聞かれる内容としては、名前や住所などの個人情報に加えて、開設する口座にいくらくらいのお金を入れたいのか、現金で振り込むのか日本の口座からの振り込みになるのか、その時期はいつなのか、振り込まれるお金は自分のお金なのか両親等からの援助なのか、振り込みは月々行われるのか、などお金の流れをかなり詳しく尋ねられることが多いです。また、「税金番号」について聞かれることもあるのですが、日本にはそれに対応するものがないので(一番近いものがマイナンバーだと思います)、税金番号を聞かれた場合は、それに対応することがない旨を伝えましょう。
これらの質問に答えられる語学力に自信がない、という人はドイツ語か英語ができるお友達に付き添ってもらうとよいと思います。通訳の方は付き添いの際にパスポートを持参する必要があるので、通訳をお願いする場合には持ってきてもらうようにお願いしましょう。
7.申し込みが終わったら
無事口座の開設が済むと、口座番号がもらえます。オーストリアの口座番号は、オーストリア国内用のものがIBAN(アイバン)、国際用のものがBIG(ビッグ)と呼ばれます。そのため、日本の口座からオーストリアに国際送金する場合はBIGを使用することになります。
銀行のカードは、開設から2週間程度で自宅に郵送されてきます。(銀行に取りに行くこともできます。)暗証番号や、インターネットバンキングなどの情報も郵送で送られてきますが、防犯のため別々の封筒で別々の時期に送られてくるので、安心してすべての情報がそろうまで待ちましょう。
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