特上の村:ウインブルドン・ビレッジ




ウインブルドンと聞くと、誰でもまずテニスを連想するのではないでしょうか?実はウインブルドンのテニス会場の最寄り駅はウインブルドンではなく、一つ手前のサウスフィールズ駅。もしウインブルドンで下車したら、駅から長い坂道を登ることになります。坂の上はウインブルドン・ビレッジと呼ばれるエリアで、実はウインブルドンの真の魅力はこのビレッジ周辺にあるのです。

 

坂の上に現れるハイソな村

 

ウインブルドンの駅前は、新しい商業ビルが立ち並び多くのバスが行きかう繁華街ですが、坂を上り始めると駅前の喧騒からは一転した静かな住宅街が広がります。更に坂を上り切るとゴシック調の水飲み場があり、ウインブルドン・ビレッジに入った事を教えてくれます。続いて目に入るのは、ゴシック調の美しい浮彫を施した塔のある銀行の建物。その先の三叉路に建つのもその昔は銀行であった建物ですが、こちらはグラナイトの装飾壁が印象的です。三叉路の向かいにあるのは、時計台と鐘のある赤煉瓦のかつての消防署です。いずれも19世紀の建物で、当時の村の豊かな生活が偲ばれます。

ウインブルドン・ビレッジの由来

ウインブルドンは1838年の鉄道駅開設後に郊外住宅地として成長しましたが、ウインブルドン・ビレッジはそれより早い1756年に、初代スペンサー伯爵がこの荘園の領主となったのを契機に発展しました。スペンサー伯爵はこの地のマナーハウスを気に入った様子で、家族揃って頻繁に訪れるようになり、それに伴い土地の評判もうなぎ登りに。大きなお屋敷が次々に建てられ、そこに上流階級の家族が移り住み、ロンドン郊外の裕福層の居住地としてその名を広めるようになったのです。因みに現在のスペンサー伯爵は九代目で、故・ダイアナ妃のお兄さんです。

エレガントなハイストリート

ハイストリートにはトップエンドのブランドブテイック、オーガニックにこだわったグロサリーストア、お洒落なカフェやレストランが軒を並べ、華やかな雰囲気に満ちています。地下鉄や鉄道駅から離れているので、普段は地元の人々だけがゆったりとショッピングや食事を楽しんでいますが、ウインブルドンテニスの開催期間中はそれぞれの店がテニスをテーマに装飾し、すっかりお祭りムードに。テニスプレイヤーお気に入りのレストランも多いそうなので、夕食を食べに行ったら隣のテーブルに有名選手が座っていた…なんて事もあるかもしれませんね。

人も馬も渡る横断歩道

17世紀の建物の一部が残るパブのローズ&クラウンその昔、駅馬車の出発地点でした。パブが旅籠も兼ねていた時代の名残で、現在でも二階に宿泊用の部屋があります。このパブの前の交差点には珍しい乗馬用の押しボタン信号があり、ウインブルドンコモンで乗馬を楽しむ人と馬が横断歩道を渡るのを時折見かけます。ここからSouthside Commonに入ると、池のあるグリーンとそれを囲むように建てられた邸宅が見えてきます。

更に進むと左手にキングスカレッジスクールの堂々としたスクールホールがあります。

ここからWoodhayes Roadに入ると、すぐ左手の門の奥にサウスサイドハウス(1776年)、更に道を下ると塀の向こうにゴシックロッジ(1760年)のネオゴシックの窓が見えます。

カントリーサイドの魅力たっぷりのパブ

今来た道を戻ると、左手の小道に二軒のパブ、17世紀創業のクルックト・ビレットと1835年創業のハンド・イン・ハンドが並んでいます。天気の良い日は店の前の小さなグリーンに椅子を持ち出して思い思いに寛ぎながらビールを飲む客や、その周囲を走り回る子供たちで賑わい、その様子はさながらカントリーサイドのパブのようです。常連客に混じってパイントグラスを傾けるのも良いですね。

グレードⅡの邸宅が並ぶゴージャスな通り

グリーンの西側のWest Side Common大邸宅が並ぶ道ですが、ひときわ目を引くのがカニザロハウス(1727年)です。現在はホテルとなっていますが、34エーカーの庭は区立公園となっており、ホテルの向かって右隣のゲートから入って自由に散策できます。また、ホテルの公園に面したカフェ「オランジェリー」からは、コーヒー片手に公園の風景が楽しめます。この先のキアー(1789)は高い塀に囲まれて中の様子は伺えませんが、秋になると塀のアイビーが見事に紅葉します。

キアーの角を覗くと、すぐ右奥にパブ、フォックス&グレープス(1787年)が見えます。このパブも駅馬車の旅籠であったので、二階に宿泊できる部屋が残っています。

 

更に足を伸ばしてウインブルドンコモンへ

 

West Side CommonはここからWest Placeと名前が変わり、可愛らしいコテージが並ぶ通りとなります。その突き当りにウインブルドンコモンの入り口があります。460ヘクタール、東京ドーム約100個分に相当する広大な緑地は元々は荘園の所有物でしたが、1871年より地元で選出された委員会が管理しており、森林、ヒースの咲く荒地、いくつかの湖沼や湿地などが広がっています。時間があればコモンを散歩してウインドミル(風車)まで足を伸ばしてみませんか?とにかく広いので、道に迷わないようあまり細い道には入り込まない方が良いでしょう。事前に地図をダウンロードしておくと安心ですね。この入り口から直進するとやがてWindmill Roadに合流し、さらに進むと風車に到着します。

 

 風車のカフェと博物館

 

この風車は1817年に小麦粉を生産するために建造されました。当時、既に水車による小麦粉の生産工場があちこちにありましたが、ウインブルドンビレッジの住人たちはその品質が気に入らず、自分たちの為に小麦を挽く施設を希望したため、このオランダ式の風車が造られたという事です。一時期は6家族の住む住居として改装されましたが、現在は風車としての機能を回復しています。1~2階は博物館で、この風車の構造や歴史についての説明が展示されている他、住居であった時代を復元した小部屋もあります。風車の裏手にはカフェがあり、いつも散歩客で賑わっています。犬用の水が準備されているのも、コモンにあるカフェならではですね。

 

ビレッジと風車へのアクセス方法

地下鉄ディストリクト線とナショナルレイルのウインブルドン駅を出たら、目の前のバス通りを左に進み、Wimbledon Hill Roadの坂を上ると、ビレッジの入り口である水飲み場まで約10分です。ビレッジから風車までは徒歩約15分で、お帰りの際は歩いてウインブルドン駅に戻るか、お急ぎの場合は風車の前のWindmill RoadからParksideに出て斜め右方向にあるバス停(Parkside Hospital)から93番のバスに乗るとウインブルドンの駅前に停まります。

 車でのアクセス方法

お車でお出掛けの場合は、風車の裏に300台規模の無料駐車がありますので、そちらに車を置いてビレッジまで歩くのをお勧めします。ビレッジ内は道路脇の駐車スペースに縦列駐車(日曜日を除き有料)、或いはカニザロハウスホテルの駐車場(カフェ・レストラン利用客のみ)がご利用になれます。

 

終わりに

 

坂の上にぽっかりと現れるエレガントな村、ウインブルドンビレッジ。カフェで寛ぐ、レストランで美味しい料理に舌鼓を打つ、或いは四季折々に美しい公園を散歩するなど、この村での過ごし方は様々ですが、穏やかに流れる時間は人々をとても優雅な気分にさせてくれます。更にコモンを散歩すれば、たっぷり森林浴も楽しめます。心も体もリセットしてくれるーウインブルドンビレッジはそんな場所なのです。




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