冒頭申し上げますと、実は不肖私、大の自転車好きであります。
東京在住の時は、雨降り以外の時は仕事もプライベートも全て自転車移動。出先での打合せの際などは、サイクルジャージを着て一人大汗をかいており、都度周りから嫌がられたのも今では良い思い出です。
そして、2015年末よりバンコクでの生活がスタートした3ヶ月後、住居が極めて不便な郊外だったこともあり、わざわざ日本から愛車のMTBをハンドキャリーで持ち込み、自転車ライフを始めました。
今回は、バンコクでの自転車生活の状況をレポートしたいと思います。
バンコクにおける自転車の地位
一般的に、発展途上の国おいては、自転車の社会的地位は低い傾向にありますが、タイにおいてもまだまだ低いのが現実です。
乗り物のステイタスは、車→オートバイ→自転車が基本。つまり、自転車は、車やオートバイを買えない人が乗るもの、という認識です。
日本でも40、50年前までは同じような状況だったかもしれませんが、現状のタイの社会における自転車の地位は、高級なスポーツ車や自転車の一般社会に認知されているヨーロッパ諸国のそれとは大きく異なります。
ただし、西洋的な風習の流入や、高級自転車の輸入の増加、さらに2015年の12月に約16万人が参加して行われた、故プミポン前国王の長寿を祈念するイベント「バイク・フォー・ダッド」が起爆剤となり、最近は急速に自転車のステイタスが上がってきているようです。
それに伴い、スポーツ自転車専門店の数もあっちやこっちで急に増えて来ていて、少し郊外の店だと、3階建てのかなり品揃え豊富な店舗まであります。
また、土地にゆとりのある道路に関しては、自転車専用道路まで作られるようになりました。写真は、エカマイ・ラムイントラという一つの基幹道路ですが、十分な路肩があるにもかかわらず、完全舗装された自転車専用道路があります。
実際この自転車専用道路が、部分的に分断されてはいるものの、20km近く走っています。
とはいえ、このような自転車に対する配慮もごく一部で、夥しい数のオートバイの存在感に比べると、まだまだ悲しいマイナーな乗り物です。
ちなみに、写真は伝統的なタイプの中古自転車店。
日本では3,000-4,000円で売られているママチャリが2,000バーツ(約6,000-6,500円)と、かなり割高です。
自転車乗りにとってのバンコクの環境
日本から自分の自転車を持ち込み、恐る恐る乗りはじめてみると、あれれ?以外に快適。
バンコクは、タイ人自らも全般的に運転が荒いというイメージを持っているようで、厳しい人は自分の子供にはバイクタクシーにも乗せない、というレベルだったりするため、そのイメージにも引っ張られ、乗り始めはかなりビビりながら漕ぎ始めたのですが、走ってみると何やら快適です。
「そんなはずは、、、?」としばらく漕いでみても、やっぱり快適。暑いこと以外(笑)。
東京在住時には、1日およそ15-20kmは毎日漕いでいた自分としては、東京で走るよりもなぜか気分良く走れます。
なぜか。
まず道路。
バンコクは、幹線道路が多くの場合、片道2車線〜4車線が通常で、大体どこでも車幅が広いんですね。
従って、路肩も広く取られている。
自転車乗りにとっては、この路肩の幅が極めて重要で、基本的な自転車の乗り易さはこれに左右されるわけですが、まずはこの幅にゆとりのある路肩で、つかみはOK!
次に、路肩の表面にも走りやすさの原因を見ることができます。
走り始めの頃は自分でもしばらく気がつかなったのですが、よく見るとメインのアスファルト面と路肩のコンクリート面のつなぎ目に出来ている溝が、ちょいちょい補修のアスファルトで埋められています。
したがって、路肩面にギャップが殆ど無いために、自転車のタイヤが不安定な蹴られ方をすることがなく、安定して走行することができるのです。
これが東京等、日本の都市部だと状況は劣悪で、まず路肩の幅が狭いのに加えて、路上駐車が多い、そして、アスファルトと路肩のコンクリートには1、2センチほどのギャップがあるのがしばしば。
ロードレーサーのような細いタイヤの自転車では、時として転倒を余儀なくされることすらあり、乗っていいて結構神経を使うものなんですよね。
次に、坂道の少なさ。
自転車乗りにとっての大きな敵に、坂道と風があります。
坂道は、あえてヒルクライムと言ってそれを専門に楽しむようなコースもあるくらいなので、場合によってはある程度の坂道は時として楽しみでもあったりするわけですが、通常の移動については、やっぱり平坦な方が楽に楽しく漕げます。
この点、バンコクは、殆どと言っていいほどアップダウンがない地形で、どこまでいっても平らな道を漕ぐことができます。しかも、なぜかバンコクは強風が恒常的に吹いていることもありません。
また信号も少なく、少し郊外に出ると路上駐車もほとんどないので、ひたすらノンストップで平坦な道を走ることができるわけですね。
自転車に乗っていらっしゃる方は、この時点で「サイコーじゃん!」とつぶやいておられると思いますが、ハイ、本当に最高なんです。
あれだけビビりながらスタートしたバンコク自転車ライフですが、実は快適だった!という結論です。
と、言いつつマイナス面もあります
バンコク自転車生活サイコー!
と両手を振ってみなさんにアピールしたいところなのですが、ただ、当然ながらマイナス部分もあります。
何と言っても、まず暑い!
こればっかりはどうしようもないですね。
12月〜2月くらいまでは乾季で、雨も降らず、空気も乾燥、また一年を通して気温も低い方なので、かなり快適に自転車を漕ぐことができますが、3月〜5月は地獄の暑さ。ちょっと漕いだだけで汗びっしょりです。
その汗びっしょりのまま、冷蔵庫クラスに冷房が効いているBTS等の電車に乗ると、まず一発で風邪をひいてしまいます。
さらに、6月からは本格的な雨季に入るため、朝は、気分良く自転車で家を出ても、帰りは土砂降り、しかもバンコク名物の洪水に見舞われ、自転車を引いて進むことすらできないようなこともしばしば起きます。
この自然環境との折り合いのつけ方は、日本にいる時よりかなり難しいと思います。
そして出ました、盗難。
実は私、何を隠そう3ヶ月の間に、2台スポーツ車を盗まれました(泣)。
もちろん、ワイヤーロックをしていましたし、専用の駐輪スペースに止めておいたのにも関わらず、です(号泣)。
自転車の盗難は、実際に遭ってみないとわからない辛さがあります。ほぼ、一方的に振られる形の失恋と同様ですね。
もう、すべてが嫌になってしまうレベル。
正直、その時はタイが嫌いになりました。いや、大っ嫌いになりました!
でも、部類の自転車好きの私、猛省をしつつ、地味〜なママチャリに極太のワイヤーロックという、見た目かなり滑稽な完全防犯対策をして、また自転車生活を再開しています。
盗難も結局は自己責任。ドロボーが悪いのはもちろんですが、乗る方もできる限りの対策をし、覚悟をして乗るというマインドが大切かと思います。
まとめ
自転車は最高です。
そして、ここバンコクでもやっぱり最高でした。
特に渋滞もひどいこの街では、自転車の利点は大きいので、今後バンコクに住まわれる方には強く、強くお勧めしたいと思います。
ただ、盗難だけは徹底した管理で対応すべきですね。
防犯ポイントは、一晩放置しないとか太いワイヤーを使う等、基本的には世界共通の注意ポイントですが、安い自転車でもGIANT等有名なブランドが付いているとそれだけでドロボー市場で価値が出てしまうので、できるだけ無名な地味なものを選んだほうが良さそうです。
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