マレーシアには、トロピカルな気候にぴったりのスイーツが沢山あります。色とりどりの蒸し菓子『Kuih(クエ)』や、日本のかき氷を思わせる『Ais Kacang(アイス・カチャン)』など、日本人の舌に合うスイーツが多いことをご存知でしたか?特に、甘いだけでなく塩味が効いたスイーツもあって面白いのが、マレーシア・スイーツの世界。今回は、マレーシアのローカルスイーツにスポットを当ててご紹介します。観光に来たら、試したくなるものばかりですよ!
見るだけでも楽しい!カラフルな「クエ」
最初にご紹介するのが、こちらの「クエ」。プラナカン文化の美を凝縮したような、色のレイヤーが印象的なスイーツ。プラナカン文化といえば“19世紀以前に各国からマレーシアに移住してきた男性が、現地のマレー人女性と結婚し、生まれてきた混血の子孫をプラナカン”と言うことから、中華とマレーのテイストがミックスしたエキゾチックな文化です。色彩豊かな建築やお菓子など、独特の文化が生まれました。そのプラナカンのスイーツが、このクエです。
筆者がクエを初めて食べたのは、ローカルの友人に連れられて来たニョニャ文化をテーマにしたカフェ。色とりどりのクエがショーケースに並びます。一口サイズなところが、和菓子を思わせます。実際に食べてみると、なんともモチモチとした食感。日本の“すあま”を少しゼリーに近い感触にたような、舌触り!
レイヤーになっているクエは、友人が「子どもの頃は、皆このレイヤーを一枚ずつはがして食べるのが皆好きだったの。」と言っていましたが、きれいに一枚ずつはがれるのが楽しいです。
クエに多用されるグリーン色の部分は、マレーシアで身近な植物「パンダン」の色素が入っているため。パンダンは、ビタミンやアミノ酸が豊富なことから薬効があると言われており、マレーシアのあちこちで見られる植物です。このグリーンの色ですが、衣服、スイーツ、アクセサリーとあらゆるところで使用されています。ある時筆者がマレー系の方が作るハンドメイドアクセサリーを購入した際にも、「この色は、マレーシア人にとって特別な意味があるの。」と教えてくれました。
このクエ、あまり甘すぎないため、日本人の口に合うなと感じました。また、味は甘いものだけでなく、なんとセイボリー(甘くなく塩味がある味)と2種類あります。甘いクエを食べたあとにセイボリー、と何度でも往復できてしまう美味しさ。ちなみに、このセイボリーのクエには食べ方があります。筆者が白い部分だけを先に食べようとしたら、友人に「ちょっと待って!」と注意されてしまいました。白い部分が塩味で、緑の部分が甘いため、一緒に口に入れないと、独特の味のハーモニーを楽しめないんだとか。これは、クエをこれから食べる方に覚えておいて欲しい、ローカルの食べ方です!
甘酸っぱい!マンゴー・サゴー・ポメロ
マンゴー好きにはたまらないのが、こちらの中華系の冷たいデザート『Mango Sago Pomelo(マンゴー・サゴー・ポメロ)』。マンゴーの切り身に柑橘系のフルーツ・ポメロ、さらにタピオカのようなつぶつぶであるサゴーが、マンゴーピューレやシロップをベースにした甘く爽やかなスープに入っています。
そこにヌードルのような長いゼリーがモチモチした食感を加え、スープと一緒にいただきます。酸味がある爽やかな甘さと、ヌードル状のゼリーが、今まで他で味わうことがない食感の世界!飲む、噛んで食べる、すする、と、異なる食べ方が一つのデザートでできるためです。
このマンゴー・サゴー・ポメロは、中華系レストランで味わえる他、ショッピングモールのフードコートにもスタンドが入っていて、気軽に買うことができますよ。
スイートなだけでない!フリッター
次にご紹介するのが、『Cucur Lemak Manis(チュチョー・レマッ・マニス)』。これは、揚げドーナッツのようなフリッター。丸いコロンとした見た目で、口に入れるとドーナッツのような、甘いフリッターです。ローカルの方の家を訪問した際、お茶の時間にささっと5分で揚げて作ってくれたものです。
マレーシアはトロピカルな気候から、食べ物が悪くならないよう揚げる食品が多いと聞きましたが、こちらも揚げたスイーツです。ドーナッツほど重くないため、次々手が伸びてしまい一人で20個くらいは簡単に平らげてしまいそうな美味しさ。『クアラルンプール伊勢丹』などのスーパーでは、このように市販のミックス粉が売られていますが、売り切れていることも多いです。日本に帰ってもこの味を楽しみたい方は、是非持ち帰って自宅で作ってみることもオススメです。
先ほどのクエと同様、このフリッターも、甘いバージョンだけでなくエビが入ったセイボリー版があります。チリソースを付けて食べるもので、こちらは、日本人にとってはおやつというより、おかずやスターターになりそうな重さがあります。
どちらも、マレーシアのローカルに愛されているおやつ!お茶の時間に、ローカルのカフェなどで、トライしてみてくださいね。
名前も可愛い「アイス・カチャン」!
最後にご紹介するのは、マレーシア版かき氷『Ais Kacang(アイス・カチャン)』。蒸し暑い気候にぴったりの涼しいスイーツです。日本のかき氷と同様、小豆を乗せシロップをかけるのが定番ですが、その他のトッピングとしては、グラスジェリー(仙草ゼリー)や豆類(ひよこ豆など)、緑色のにょろにょろしたゼリー、コーンなど、もりもりトッピングを乗せる特徴があります。屋台やホーカーセンターでよく売られていますが、トッピングを選べるので、好きな具材を乗せることが可能です。
トッピングが完成すると、大変鮮やかな色合いとなります。そして一口食べれば氷のサクサク感、ゼリーのつるんとした喉越しに、クランチーな豆類と、食べ飽きずに何度でも楽しめる食感が嬉しい!
トウモロコシと言えば、こちらでは日本のように“焼きトウモロコシ”や、バターコーンの屋台をあちこちで見かけることができます。かき氷にトウモロコシの組み合わせは、あまり想像がつかないかもしれませんが、当地では愛されているトウモロコシなので、ローカルには違和感がないのでしょう。
出来上がったアイス・カチャン。見慣れない色鮮やかさに、初めはびっくりしてしまうかもしれませんが、“食感の祭典”アイス・カチャンは試す価値がありますよ!
今回は、マレーシアの代表的な国民的スイーツをご紹介しましたが、いかがでしたか?スイーツなのに甘いだけでなく、セイボリー版があるところが、面白いと筆者は感じました。暑い国ならではの涼しげなスイーツは、他にもまだまだ種類があり、マレーシアはまさにスイーツ天国。当地に来たら、このようなスイーツを食べて暑さを吹き飛ばしてくださいね!
<参照>
・B級グルメ攻略法 — ニョニャ料理の起源とルーツ
<写真協力>
・Kyle Lam …マンゴー・サゴー・ポメロの1つ目の写真
・Krista…アイス・カチャンの写真
コメント